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パートなのに仕事が多すぎる!と感じたときに実践したい対処法7選

「パートなのに、なぜこんなに仕事が多いのだろう?」
ふとした瞬間に湧き上がるこの疑問。少し手を抜けば責任感がないと言われ、頑張れば頑張るほど仕事が増えていく。気づけば、社員と変わらない責任を担っている――そんな状況に、もやもやを抱えている方は少なくありません。

本来、パートタイムの仕事とは、時間や業務範囲が限定された働き方。家庭との両立や、自分の生活を大切にするために選んだ働き方だったはずです。しかし現実には、人手不足や職場の慣習の中で、想定以上の業務量を抱え込み、気づけば「こなすこと」に追われてしまっているケースが多発しています。

実際、ある調査では従業員の69.4%が高い仕事量に直面しているという結果が出ています(Albalawi et al., 2023, https://www.benkjournal.com/article/download/458/402)。これは正社員に限らず、パートやアルバイトにも当てはまる傾向であり、特に「責任の範囲が不明確な職場」では、本人がどこまでやればよいかの線引きが曖昧になりがちです。

また、「仕事が多すぎる」と感じる根本には、単なる作業量の問題だけでなく、「断りにくい空気」や「まじめさゆえの引き受け体質」も関係しています。そして、それを放置すると、慢性的な疲労感や仕事に対する無力感につながるリスクも否定できません(Westover, 2025, https://doi.org/10.70175/hclreview.2020.17.1.3)。

この記事では、そんな「パートなのに仕事が多すぎる」と感じてしまう背景に光を当てながら、具体的な対処法を7つのステップで提案します。読んでいくうちに、あなたが「抱え込まなくてもいいもの」や「伝えるべきこと」が明確になるはずです。

この記事は以下のような人におすすめ!

  • 毎日が仕事に追われ、自分の時間が取れていない
  • パートなのに社員と同じような責任を負わされている気がする
  • 「断るのが苦手」で、つい何でも引き受けてしまう
  • 職場で自分の業務範囲が曖昧だと感じている
  • もう限界…と感じながらも、どうすればいいか分からない

 目次 CONTENTS

1. なぜ「パートなのに仕事が多すぎる」と感じるのか?

パートで働いているはずなのに、日々の業務量が社員と変わらない。そんな感覚を覚えるとき、多くの人は「どうして私ばかり?」という疑問や不満を抱きます。しかし、その背景には個人の性格だけでなく、組織側の構造的な問題職場の文化が深く関係しています。

ある研究では、業務量の増加は必ずしも本人の能力不足が原因ではなく、「仕事の設計」と「役割分担の不明確さ」が大きく影響していることが指摘されています(Nijp, 2022, https://doi.org/10.5117/go2022.3.005.nup)。パートタイムでも求められる責任が増えることで、精神的・物理的な負担が拡大しやすくなるのです。

では、なぜこのような状況に陥るのでしょうか。ここでは3つの側面から、その背景を紐解いていきます。

1-1. 求められる役割の拡大と曖昧さ

多くの職場では、人手不足や業務の属人化(特定の人にしかできない仕事がある状態)によって、パートでも社員並みの業務を担当することが常態化しています。

たとえば、本来は補助的な業務であるはずのパート職が、「お客様対応」「クレーム処理」「在庫管理」など、正社員と変わらない中核業務まで担っているというケースも少なくありません。

このような状況が生まれる原因の一つは、「役割の境界」が明示されていないことにあります。採用時の契約内容に書かれていない仕事を、なんとなくの流れで引き受けてしまい、そのまま担当業務として固定化されてしまうのです。

論文でも、役割の明確化が業務負担の軽減に直結することが示されています。具体的には、役割の明確さが高い従業員ほど、仕事に対する満足度が高く、燃え尽きリスクが低いという結果が得られています(Albalawi et al., 2023, https://www.benkjournal.com/article/download/458/402)。

1-2. 責任の境界が曖昧になる現場のリアル

「お願いね」の一言が積み重なり、気づけば責任ある業務をほぼ一手に担っている――これは多くの現場で見られる現象です。

特に少人数の職場では、「パートだからこれはやらなくていい」と線を引くことが難しく、責任の境界があいまいなまま仕事が増えていく傾向があります。結果的に、最初は単発だった“お願い”が、いつの間にか「やって当然」という扱いになってしまうのです。

Westover(2025)は、責任の曖昧さが職場での“圧倒感”の主因であると述べ、特に「ノーと言いにくい環境」が、本人の負担感を増幅させる要因であると指摘しています(Westover, 2025, https://doi.org/10.70175/hclreview.2020.17.1.3)。

1-3. 「できる人」ほど任されやすくなる理由

「頼まれたら断れない」「つい気づいて動いてしまう」――そんな真面目で気が利くタイプの人ほど、仕事が集中しやすい傾向にあります。

これはいわゆる「無意識の業務配分」の問題です。周囲から見れば「〇〇さんに任せれば安心」と思われる一方、本人にとっては報酬も立場も変わらないまま、業務だけが増えていく不公平な状態になります。

Wieczorek & Kaznowski(2024)は、こうした状態を“役割のミスマッチ”と呼び、本人のスキルや志向に見合わない業務を担うことが、心理的な負担感や燃え尽きリスクにつながるとしています(Wieczorek & Kaznowski, 2024, https://doi.org/10.4467/25436104hs.23.005.19117)。

仕事を抱え込みすぎる人は、「期待されているから」「自分しかできないと思ってしまう」という心理に陥りがちです。しかしそれは、職場にとっても本人にとっても健全とは言えません。

ポイント

  1. パートでも責任が拡大する背景には、役割の曖昧さがある
  2. 境界のない依頼が常態化すると、業務が際限なく増えていく
  3. 「できる人ほど仕事が集中する」という無意識の構造が存在する
  4. 業務負担が増える構造的な原因を見極めることが、対処の第一歩になる

2. 放っておくとどうなる?仕事の負荷が心身に与える影響

「この程度ならまだ大丈夫」と思いながら、気づけば日々疲労感が抜けない。そんな状態で働き続けていませんか?
仕事量が多すぎる状態を放置すると、単なる「しんどさ」では済まされない問題が次々に現れます。体力的・精神的な不調だけでなく、人間関係や判断力にも影響が及び、最終的には働くことそのものがつらくなってしまうこともあります。

本章では、実際に報告されている研究結果をもとに、仕事の過剰な負荷が心と体、職場の関係性にどのような悪影響を与えるかを3つの視点から掘り下げていきます。

2-1. 疲労の蓄積はパフォーマンス低下につながる

仕事の負荷が高い状態が続くと、当然ながら体も心も疲弊します。
最初は「少し疲れたな」程度の感覚でも、それが毎日のように続けば、やがて集中力や判断力が落ちていき、仕事の質自体に悪影響が出てしまうのです。

Westover(2025)は、「過剰な仕事量による慢性的な疲労は、適切な判断を妨げるだけでなく、組織的な目標達成能力をも低下させる」と述べています(Westover, 2025, https://doi.org/10.70175/hclreview.2020.17.1.3)。
さらに、複数の研究では、睡眠の質や記憶力にも悪影響を及ぼすことが分かっており、慢性疲労が日常生活の幅広い領域にマイナスの影響を及ぼすことが明らかになっています。

つまり、働けば働くほど「効率が上がる」わけではなく、一定ラインを越えた負荷は逆効果になるのです。

2-2. 「やりすぎ」が職場関係をこじらせるケースも

まじめに仕事をこなしているのに、なぜか周囲から「またやってるの?」と距離を取られた経験はありませんか?
実は、過度に働くことが周囲との関係を悪化させる原因になるケースもあります。

とくに、同じ職場で「自分だけ頑張りすぎてしまう」人がいると、ほかのパートや社員との間に見えないギャップや不信感が生まれやすくなります。「〇〇さんはあれもこれもやってくれるから…」と周囲が依存的になり、それに対して本人が内心不満をため込む。やがて、それが表面化すれば職場の雰囲気に影を落とすことも。

Nijp(2022)も指摘するように、職場における社会的なつながり(relatedness)が弱まると、パフォーマンスや満足度は下がり、逆に孤立感が強まることが明らかになっています(Nijp, 2022, https://doi.org/10.5117/go2022.3.005.nup)。

頑張りすぎた結果、職場の信頼関係やチームワークにヒビが入る――これは非常に皮肉な結末と言えるでしょう。

2-3. 自分で気づきにくい「慢性的な疲れ」のサイン

怖いのは、心や体の不調が本人にとって“慣れ”のようになってしまうことです。

「毎日だるいけど、年齢のせいかな」「このくらいみんなも我慢してるよね」と、自分に言い聞かせて働き続けてしまう方は多いものです。しかしそれは、慢性疲労や過労のサインを見落としている状態とも言えます。

Howard(2015)は、燃え尽き症候群には「疲労」「皮肉な感情」「自己効力感の低下」という3つの段階があるとし、それが徐々に進行するため、自覚しにくいと警告しています(Howard, 2015, https://spark.parkland.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1145&context=ah)。

日々の業務に追われていると、「一息つくことすら忘れてしまう」ことがあります。
その結果、軽い不調が深刻な問題へと発展してしまうリスクが高まるのです。

ポイント

  1. 過剰な業務は判断力や集中力を奪い、逆に仕事の質を下げる
  2. 頑張りすぎが周囲との関係性を悪化させるケースもある
  3. 慢性的な疲労は自覚しにくく、気づいたときには限界を超えていることがある
  4. 自分の体と心の変化に敏感になることが、最初の防衛策になる

3. まずはここから!業務量の「見える化」で冷静に整理

「なんだか毎日忙しい」「気づいたら残業している」──そんな感覚が続くと、つい漠然と「仕事が多すぎる」と思いがちです。ですが、本当に業務量が自分にとって適正かどうかを把握するためには、まず状況を視覚化=見える化することが不可欠です。

特にパートタイマーの場合、社員に比べて時間も限られているため、「何にどのくらいの時間を使っているか」「本来の業務範囲を超えていないか」といった点を具体的に見直すことが、今後の負荷軽減に向けた第一歩になります。

ここでは、自分の業務を客観的に見直し、整理するための実践的な方法を3つ紹介します。

3-1. タスクの棚卸し:紙に書き出すだけで変わる

最もシンプルで効果的な方法が、「今やっている仕事を全部書き出す」ことです。

脳内で「あれもやらなきゃ」「これも手をつけないと」と思っているうちは、実際の業務量や負荷を正しく把握することができません。ですが、紙に書き出すことで情報が“見える”状態になり、無意識のプレッシャーから解放されることがあります。

おすすめは、以下のような形式で書き出すことです

  • 毎日ルーティンで行っている業務
  • 頼まれた業務(イレギュラー)
  • 自分から進んでやっている業務
  • 時間がかかっている業務

これを「朝・昼・夕」「週単位」などで分類しておくと、自分が何にどれだけの時間と労力を割いているかが明確になります。

実際、Westover(2025)も、自分の責任範囲をリスト化し、優先順位の見直しや業務削減の判断材料にすることが、過剰労働感の軽減に効果的であると指摘しています(Westover, 2025, https://doi.org/10.70175/hclreview.2020.17.1.3)。

3-2. 緊急度と重要度で分類する「優先順位マップ」

次のステップとして有効なのが、「重要度」と「緊急度」の2軸でタスクを分類する優先順位マップです。
これは、仕事の取捨選択をするうえで非常に効果的なフレームワークです。

以下のように、タスクを4つの領域に分けて整理します

緊急緊急でない
重要A:今すぐやるB:計画を立てて対応する
重要でないC:誰かに頼むD:やめるor後回しにする

多くの人は、AとCの領域(急ぎの用事)にばかり時間を使いがちです。しかし、真に大切なのは、「B:重要だが緊急でないタスク」に十分な時間を割けているかどうかです。

この分類を用いることで、「そもそも今やる必要のない仕事」「自分がやらなくても良い仕事」が見えてきます。

論文でも、明確な優先順位設定と戦略的スケジューリングが、業務過多による圧迫感を軽減することが示されています(Westover, 2025, https://doi.org/10.70175/hclreview.2020.17.1.3)。

3-3. 自分の担当外の仕事を抱えていないかチェック

業務の見える化を進めていくと、次第に「これ、私の業務範囲だっけ?」と疑問が湧いてくることがあります。
それは決して疑念ではなく、職場にありがちな“業務の自然な膨張”に気づいたサインです。

Albalawiら(2023)の調査では、業務範囲が曖昧な場合、従業員の疲労感やストレスが高まる傾向があることが指摘されています(Albalawi et al., 2023, https://www.benkjournal.com/article/download/458/402)。

以下のようなチェックポイントで振り返ってみましょう

  • 勤務時間外に対応している業務はあるか
  • 契約書に記載のないタスクを継続的に担当しているか
  • 社員と同等の裁量や責任を求められていないか

こうした業務が増えている場合、一度リセットして「本来の自分の役割」を再確認する作業が必要です。

ポイント

  1. 業務量の“見える化”は負担感の軽減に直結する第一歩
  2. 書き出すことで、思い込みと実態のギャップに気づける
  3. 優先順位マップで「やらなくていい仕事」を明確にする
  4. 担当外業務が増えていないか、定期的にチェックする視点を持つことが重要

4. 増えすぎた仕事を減らすための「伝え方」テクニック

「もう無理かもしれない」と感じながらも、結局今日もその仕事を引き受けてしまった――そんな毎日に心当たりはありませんか?
仕事が多すぎると感じたとき、本当は「減らしたい」「できない」と伝えたい。でも、「迷惑になるのでは」「わがままだと思われたくない」といった気持ちが先立ち、なかなか言い出せないのが現実です。

けれども、仕事量を自分のキャパシティに合わせて調整していくことは、健全な労働環境を保つうえで欠かせないセルフマネジメントの一つ。ここでは、角が立たず、誠実に、かつ効果的に仕事の負荷を調整するための「伝え方」について、3つのテクニックを紹介します。

4-1. ただ「無理」と言うより、伝えるべきポイント

「無理です」「できません」と一言で済ませてしまうと、相手にネガティブな印象を与えるだけで、関係性も悪化しかねません。そこで大切なのは、単なる拒否ではなく、“状況の説明”と“選択肢の提示”を組み合わせることです。

たとえば

  • 「現在AとBの業務に追われており、同時進行が難しい状態です」
  • 「この業務を新たに加えるなら、どれを後回しにすれば良いかご相談させてください」

このように言い換えることで、責任感を放棄せずに、負荷を軽減する余地が生まれます。

Westover(2025)は、「過剰業務に対する感情的な反応よりも、戦略的な説明と協力的姿勢が、長期的に職場での信頼を築く」と述べています(Westover, 2025, https://doi.org/10.70175/hclreview.2020.17.1.3)。

4-2. 社員・上司と対話する時の言い回し例

伝え方のコツは、“批判”ではなく“相談”というトーンで話すこと。
相手に「自分が責められている」と感じさせないよう配慮することで、聞く側も前向きに受け取ってくれやすくなります。

以下は、実際に使える言い回しの例です

  • 「最近、業務が多くなり、パフォーマンスに影響が出てしまっていると感じています」
  • 「今のままでは時間内に終えることが難しく、見直しをお願いできないでしょうか」
  • 「〇〇の作業についてですが、社員の方が対応された方がスムーズかと思います」

これらの言葉は、相手に非を押し付けず、自分の状況を共有するスタンスを保っています。

Albalawiら(2023)も、職場内での対話と役割再設定の重要性を指摘しており、対話の積み重ねが業務量とストレスのバランス調整に有効であると報告しています(Albalawi et al., 2023, https://www.benkjournal.com/article/download/458/402)。

4-3. 周囲と摩擦を生まずに依頼を減らす方法

直接「できません」と言うことに抵抗がある場合は、“提案”という形で代替案を出すのも効果的です。

たとえば

  • 「その件、今対応するのが難しいので、〇〇さんにお願いしても大丈夫でしょうか?」
  • 「今は余裕がないのですが、〇日の午後なら対応可能です」

このように伝えると、断るのではなく、調整・協力を申し出ている印象になります。

また、社内で信頼されている人に相談し、「実は業務量が多くて困っている」と第三者に理解者になってもらうのも効果的。自分一人で抱え込まず、職場内で“問題共有の土壌”を作ることが、仕事を減らしていくうえで欠かせません。

Wieczorek & Kaznowski(2024)は、業務負荷が高い状態においてこそ、社会的支援と適切な意思表示が職場満足度を高める鍵になるとしています(Wieczorek & Kaznowski, 2024, https://doi.org/10.4467/25436104hs.23.005.19117)。

ポイント

  1. 「無理です」よりも「状況説明+選択肢提示」で伝えると好印象
  2. 批判ではなく相談の姿勢を持つことで、話し合いの土台が整う
  3. 断るのではなく“提案”として代替案を提示することで摩擦を回避
  4. 一人で抱え込まず、信頼できる第三者と共有することで職場全体の理解を得やすくなる

5. 「ノー」と言える関係づくりはパートでも可能

「頼まれると断れない」「自分だけが負担になっている気がする」──
そんなふうに思いながら、つい引き受けてしまう。その繰り返しで、いつの間にかパート勤務とは思えないほどの責任や仕事量を背負っている。こうした状況は、「断れない職場環境」や「遠慮しがちな人間関係」から生まれる構造的な問題であることが多いです。

パートだからといって、黙って仕事を受け続けなければいけないわけではありません。むしろ、自分のキャパシティを超える仕事を続けていれば、職場にとってもデメリットとなりかねません。

ここでは、負担を1人で抱え込まないために、「ノー」と言える人間関係の築き方を、3つの視点から紐解いていきます。

5-1. 言いにくさの根源は「遠慮と恐れ」

「パートの自分がこんなことを言っていいのか」
「嫌われたり、使いにくいと思われるのが怖い」

こうした不安が、「言いたいことを言えない」状態をつくり出します。けれども、その“我慢”が積み重なると、結果的に職場全体のバランスを崩す原因にもなり得るのです。

Howard(2015)は、燃え尽き症候群の背景に「感情を抑え込み続けた結果としての自己効力感の低下」があると述べ、自分の感情やニーズを表現できない環境が、心身に悪影響を与えると警告しています(Howard, 2015, https://spark.parkland.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1145&context=ah)。

つまり、言いたいことを伝えることは「わがまま」ではなく、「自分を守る行動」なのです。

5-2. 断る=迷惑ではない。健全な人間関係とは

多くの人が「断ること=相手を傷つけること」だと誤解しがちです。しかし、実際には、自分の限界や状況を正直に伝えることが、職場の信頼関係を強化する行為であることもあります。

人は、“見えない不満”よりも、“見える誠実な断り”の方が受け入れやすいものです。

たとえば、次のような言葉で断ると、相手も納得しやすくなります

  • 「申し訳ありません、今は他の業務で手いっぱいでして…」
  • 「〇〇の対応で時間がとられており、今日中には難しい状況です」
  • 「別の方と分担する形であれば、対応可能です」

このように、断るのではなく“調整”や“提案”に変換する表現は、相手の印象を和らげる効果があります。

また、Albalawiら(2023)は、職場における対話と信頼の形成が、従業員の役割範囲と労働意欲の健全なバランスを生むと指摘しています(Albalawi et al., 2023, https://www.benkjournal.com/article/download/458/402)。

5-3. どうしても通じない職場…見極めの視点

どれだけ丁寧に伝えても、「聞き入れてもらえない」「パートだから我慢して当然という空気がある」──
そうした職場環境が続いているなら、一度立ち止まって考えてみることも必要です。

Wieczorek & Kaznowski(2024)は、職場の人間関係や労働環境が個人の能力や適応力よりも先に燃え尽き症候群の原因となり得ることを強調し、「職場そのものの適応性や柔軟性に問題がある場合は、環境を変える選択肢もある」と提言しています(Wieczorek & Kaznowski, 2024, https://doi.org/10.4467/25436104hs.23.005.19117)。

本来、どんな雇用形態であっても、尊重されるべきは「働く人の声」です。
パートであることが理由で無理な要求が通る職場は、そもそも健全な職場とは言えません。

ポイント

  1. 「断れない」の背景には、遠慮や恐れがあるが、それは職場にとってもリスク
  2. 断ること=迷惑ではない。むしろ誠実な意思表示は信頼につながる
  3. 丁寧な表現と代替案の提示が「ノー」の伝え方を円滑にする
  4. 努力しても改善しない職場には、環境を見直す判断も必要

6. 私生活の圧迫を防ぐ!自分を守るスケジュール術

「仕事が終わっても、気づけば家でも職場のことを考えてしまう」「シフト外でもLINEで業務連絡が来る」──そんなふうに、仕事がじわじわと私生活に侵食している実感はありませんか?

パートという働き方は、本来、家庭や趣味、自己成長といった私生活を大切にするための選択肢のはずです。しかし、業務の増加や責任の曖昧さによって、いつの間にかフルタイム以上の精神的負荷を背負っている人が少なくありません。

過度な業務量に対抗するには、ただ「減らして」と言うだけでなく、自分自身でスケジュールや時間の使い方を工夫する視点が不可欠です。ここでは、仕事と私生活の線引きをし、自分を守るための実践的なスケジュール術を紹介します。

6-1. タスクの間に「余白時間」を設ける意味

現代の働き方は、予定を分刻みで埋めることが“できる人”の証のように思われがちです。しかし、タスクが次々と詰め込まれていると、心身が休まる時間がなく、気づけば慢性的な疲労に陥ってしまうのです。

Westover(2025)は、戦略的なスケジュール設定によって、ストレスや意思決定の質に大きな違いが生まれると述べ、具体的には「タスクとタスクの間に5〜15分程度の“余白”を設けることが望ましい」としています(Westover, 2025, https://doi.org/10.70175/hclreview.2020.17.1.3)。

この「余白」は単なる休憩ではなく、「思考の切り替え時間」「気持ちを整えるバッファ」として機能します。パートタイム勤務であっても、朝出勤前の10分や、昼休みに1人になる時間など、小さな隙間を意識的に作ることで働き方が劇的に変わるのです。

6-2. 曜日ごとに役割を絞る「テーマ設定法」

「毎日がやることだらけで、週の感覚すらなくなっている」という人には、曜日ごとにタスクを割り振る“テーマ設定”がおすすめです。

たとえば

  • 月曜:買い物・下ごしらえの日
  • 火曜:家計管理と書類整理の日
  • 水曜:自分時間・カフェや趣味の日
  • 木曜:掃除と家事集中の日
  • 金曜:仕事の復習や次週の準備

このように、あらかじめ「この日はこれ」と決めておくことで、予定の過密化を防ぎ、精神的なゆとりが生まれやすくなります。何をどこでやるかが決まっていれば、「今日中にやらなきゃ」と焦ることも減るでしょう。

Nijp(2022)のエフォートバランスモデルでも、「過剰な業務は、個人のニーズ(休息・趣味・家庭)を圧迫し、それが慢性的な不調の原因になる」とされており、自分の時間を確保することが健康維持の鍵と位置づけられています(Nijp, 2022, https://doi.org/10.5117/go2022.3.005.nup)。

6-3. 持ち帰り仕事をやめるための工夫とは

「ちょっとだけのつもりが、家に帰っても仕事の続きが気になってしまう」──この“持ち帰り仕事”は、実際の作業だけでなく、脳内でも続いている仕事時間という意味で大きな負担になります。

これを防ぐためには、「仕事の終わりに切り替えの儀式」を設けることが効果的です。

たとえば

  • 帰宅前に“やることリスト”を書き出し、明日に持ち越すタスクを明示しておく
  • 更衣室で深呼吸を3回して「仕事モード」から「私生活モード」へ切り替える
  • スマホの通知を勤務終了後はオフにする(緊急連絡用の連絡手段だけ残す)

Howard(2015)は、「仕事の疲労と生活の回復リズムが分離されていないことが、バーンアウトの引き金になる」と警告しており、意識的な切り替えの習慣が燃え尽きの予防策となることを示しています(Howard, 2015, https://spark.parkland.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1145&context=ah)。

ポイント

  1. スケジュールに“余白時間”を取り入れることで、心と体の疲労を防げる
  2. 曜日ごとにやることをテーマ分けすれば、生活全体の見通しが良くなる
  3. 仕事を家に持ち込まない工夫(切り替えの儀式)が、メンタルヘルスを守る鍵
  4. パートでも、自分の時間を優先する意識が健全な働き方をつくる

7. 「それ、私の仕事ですか?」と感じたら

「なんで私がここまでやらなきゃいけないの?」とふと思った経験はありませんか?
その感覚は、決して甘えではありません。それは、自分が本来担うべき範囲を超えて仕事を引き受けているサインです。

パート勤務は、時間や責任の範囲が限定されている働き方のはずです。しかし、現実には人手不足や曖昧な指示のもとで、正社員と同等の業務を担うような状況に追い込まれているケースが非常に多くなっています。

ここでは、業務範囲を見直し、「ここまでならできる」「これは私の仕事ではない」と線を引くための視点を3つの切り口から整理します。

7-1. パートの業務範囲を見直すチェックリスト

自分の業務が本来の範囲を逸脱していないか、まずはチェックしてみましょう。
以下に挙げる項目に複数当てはまる場合、それは「業務の過負荷」が進行している兆候です。

  • 勤務時間内に終わらない仕事を日常的に持ち帰っている
  • 社員と同等の判断や決裁を求められている
  • 他のパートや新人の指導・管理を任されている
  • 明文化されていない“暗黙の担当”が存在している
  • 担当変更や業務負担の見直しが長期間されていない

このような状態は、「パートだから断れない」「助け合いが当たり前」という職場の空気が背景にあることも少なくありません。
しかしそれは、本来の雇用契約の意図とズレており、明確に見直されるべきポイントです。

Albalawiら(2023)は、業務の境界線が不明確であるほど、従業員の疲労感・離職意向が高まると報告しており、役割の定義がいかに重要であるかを示しています(Albalawi et al., 2023, https://www.benkjournal.com/article/download/458/402)。

7-2. 「気づいたら社員並み」の兆候とは

とくに注意したいのは、「できる人」「気が利く人」が無意識のうちに社員と同等、あるいはそれ以上の業務量をこなしてしまっている状態です。

たとえば以下のような例が挙げられます

  • クレーム対応やトラブル処理の一次対応を任されている
  • 店舗運営やシフト管理など、全体を把握するポジションにいる
  • 担当業務が他人に引き継げない状態になっている

これらは本来、責任範囲が広い正社員が担うべき内容です。
にもかかわらず、パートという立場で対応し続けると、「実質社員扱い」になってしまい、仕事量だけが増え、報酬や待遇には反映されないという不均衡が生まれます。

Wieczorek & Kaznowski(2024)は、職種と実務の不一致が個人の疲弊や離職リスクを高めると警鐘を鳴らしており、役割と処遇の一致が職場の健全性を左右すると指摘しています(Wieczorek & Kaznowski, 2024, https://doi.org/10.4467/25436104hs.23.005.19117)。

7-3. 限界ラインを自分で定義することの大切さ

業務過多の問題は、外部から明確に「あなたの仕事はここまで」と線を引いてくれることは、ほとんどありません。
だからこそ、自分で「ここから先は無理」というラインを設定することが極めて重要になります。

このラインを引く際の基準としては、

  • 家庭との両立が難しくなっていないか
  • 心身の疲労が取れない状態が続いていないか
  • 働く意欲や達成感が明らかに減っていないか

など、生活・健康・感情の3つの側面から振り返るとよいでしょう。

Nijp(2022)の提唱するエフォートバランスモデルでは、仕事への努力が、個人の休息機会や人生目標を著しく妨げるとき、その労働は不健全であるとされています(Nijp, 2022, https://doi.org/10.5117/go2022.3.005.nup)。

「限界を超えてから考える」ではなく、「限界に近づく前に守る」──その意識を持つことが、長く働き続けるための鍵なのです。

ポイント

  1. 自分の業務が本来の範囲か、チェックリストで定期的に見直すことが大切
  2. 「社員並み」の責任を負っていないか、無意識のうちに確認する視点を持つ
  3. 限界ラインを他人任せにせず、自分で定義する習慣をつけよう
  4. 自分の働き方を守ることが、結果的に職場全体の健全性につながる

8. 自分を守る意識改革:「責任感」と「自己犠牲」は違う

「自分がやらなきゃ」「誰かが困るから」──
そう思って頑張ってきたのに、気づけば誰にも気づかれず、ねぎらいの言葉もない。ただ疲れだけが蓄積していく。
それでも「迷惑をかけたくない」と踏ん張ってしまう――そんな状態に心当たりのある方は少なくないのではないでしょうか。

確かに、責任感は社会人として大切な資質です。しかし、それが自己犠牲へと変質してしまえば、本人にも、周囲にも不健全な影響を与えてしまいます
この章では、「責任感」と「自己犠牲」の違いを明確にし、自分の働き方を見つめ直すための意識改革を3つの視点で深掘りします。

8-1. 頼られることと搾取されることの違い

「〇〇さんならやってくれると思って」
「あなたがいると助かる」──
このような言葉は、時に嬉しく、誇らしく感じられるかもしれません。けれども、それが繰り返されるうちに、本来の契約や役割を超えた仕事が“当然”のようになっていないでしょうか

これは、「信頼されている」ことと「利用されている」ことの境界が曖昧になっているサインです。

Albalawiら(2023)は、高い職場満足度を感じている労働者でも、実際には過剰な業務負荷にさらされ、燃え尽き症候群の予兆が見られるケースが多いと指摘しています(Albalawi et al., 2023, https://www.benkjournal.com/article/download/458/402)。

つまり、「頼られているから嬉しい」と感じていても、それが報酬にも配慮にもつながらない場合は“搾取”になり得るのです。
真面目な人ほど、この線引きに気づきにくいからこそ、自覚的になる必要があります。

8-2. 「いい人」でいようとしすぎていない?

職場での人間関係を円滑にしたいという気持ちは、多くの人にとって自然な感情です。
しかし、「嫌われたくない」「気を悪くされたくない」という想いが強すぎると、本音を言えず、常に“いい人”を演じてしまうことがあります。

これは、自己肯定感を職場での評価や周囲の機嫌に依存してしまう心理であり、長期的には大きなストレスの原因になります。

Wieczorek & Kaznowski(2024)は、職業上の燃え尽きは、職務のミスマッチ以上に、“自分のニーズを押し殺す職場関係”が引き金になるケースもあると述べています(Wieczorek & Kaznowski, 2024, https://doi.org/10.4467/25436104hs.23.005.19117)。

つまり、良好な人間関係とは、本音を出せる“余白”がある関係性であって、常に遠慮や配慮ばかりが先行する関係ではないのです。

8-3. 自分の働き方を肯定できる状態を目指そう

一番大切なのは、「自分自身が、自分の働き方を肯定できるかどうか」です。

「本当はもっと余裕が欲しい」「家族との時間を削っている」
そう思いながら無理を続ける状態では、どんなに周囲から評価されていても、自分の中での納得感がありません。

Nijp(2022)は、エフォートバランスモデルの中で、仕事に費やす労力と個人の幸福感・目的意識がバランスしている状態こそが、健全な働き方の条件であると説いています(Nijp, 2022, https://doi.org/10.5117/go2022.3.005.nup)。

「今日はちゃんと断れた」
「この時間は自分のために使えた」
「このペースなら無理なく働ける」──

そんな小さな自己肯定の積み重ねが、心を軽くし、働き続ける力になります。

ポイント

  1. 「頼られている」と感じても、それが役割と報酬に見合わないなら要注意
  2. “いい人”でいようとする無理が、ストレスの温床になることもある
  3. 本音を出せる職場環境が、自分らしい働き方を支える
  4. 自分が納得できる働き方=健全な責任感の証であり、自己犠牲とは違う

9. 転職や職場変更も選択肢のひとつ

「ここで頑張り続けるしかない」と思い込んでいませんか?
確かに、長く勤めている職場には愛着もあり、人間関係や生活環境を考えると簡単に辞められないかもしれません。
でも、それが「自分の健康や生活を犠牲にしてまで続けること」になっているなら、一度立ち止まって選択肢を見直すことも大切です。

仕事量の多さを我慢し続けた結果、心身に不調をきたすケースは少なくありません。この章では、「辞める=逃げ」ではないという考え方に立ち、自分らしい働き方を取り戻すための視点を3つご紹介します。

9-1. 「逃げ」ではなく「適応」のための判断

「ここで耐えられない自分が悪いのでは?」「少し甘えているかも」と、自分を責めていませんか?
実はこのような自己否定は、環境の問題を個人のせいにしてしまう思考パターンです。

Nijp(2022)は、過重な労働環境に身を置き続けると、「職場に適応する能力があるか」ではなく、「どれだけ自己犠牲を続けられるか」が求められる構造になると指摘し、それが本質的な幸福やパフォーマンスの低下につながると述べています(Nijp, 2022, https://doi.org/10.5117/go2022.3.005.nup)。

環境に“適応できる自分”を目指すのではなく、「自分に適した環境」を選ぶこと。
これは自己防衛ではなく、主体的な選択行動なのです。

9-2. 相談すべき相手とタイミングとは

転職や職場変更を考えるとき、「誰に、どのタイミングで相談するか」は非常に重要です。

まずは、自分の状態を客観的に把握できる第三者──たとえば信頼できる元同僚や転職エージェント、地域の労働相談窓口などに話してみることをおすすめします。
相談することで、自分では気づけなかった思考の偏りや、現職の問題点の構造化が可能になります。

また、Howard(2015)は、「自分の気持ちや限界を他人に言葉で伝えることが、バーンアウトの予防や対処において極めて有効である」と述べています(Howard, 2015, https://spark.parkland.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1145&context=ah)。

つまり、「無理かも」と感じたタイミングでの相談は、決して早すぎないということです。むしろ、限界を超える前に動ける人こそが、長く健康的に働き続けられるのです。

9-3. 仕事量が適切な職場を選ぶための視点

新たな職場を探す際には、ただ「給料」や「立地」だけで選ぶのではなく、自分が働きやすい“環境条件”を明文化することが大切です。

たとえば

  • 時間外の連絡がない職場
  • 担当業務が明文化されている職場
  • シフトや業務分担が公平で、偏りが少ない体制
  • 育児・介護など私生活との両立がしやすい制度

Albalawiら(2023)は、「業務内容が明確であり、役割と報酬のバランスが取れている職場ほど、従業員の満足度と持続性が高まる」と報告しており、転職先を選ぶうえで“業務の明確性”が重要な指標であるとしています(Albalawi et al., 2023, https://www.benkjournal.com/article/download/458/402)。

見落としがちな「空気感」「常識」といった曖昧な要素も、職場の健全性を大きく左右します。
可能であれば、面接時に現場を見学したり、実際の社員やパートの声を確認することも有効です。

ポイント

  1. 職場を離れる判断は“逃げ”ではなく、未来への適応行動
  2. 限界を迎える前に、信頼できる第三者へ相談することが大切
  3. 転職先は「条件」だけでなく、「働きやすさの本質」で選ぶ
  4. 業務の明確さと生活との両立のしやすさが、長く働ける鍵になる

10. Q&A:よくある質問

ここでは、「パートなのに仕事が多すぎる」と悩む方々から特によく寄せられる質問に、具体的かつ実用的な視点でお答えします。現場のリアルに寄り添いながら、少しでも気持ちが軽くなるようなヒントをお届けします。

10-1. パートなのに社員より働いてる気がするのは普通?

普通ではありません。
パート勤務は原則として「限定的な時間」「限定的な業務内容」で契約されています。にもかかわらず、社員と同等またはそれ以上の業務をこなしているなら、それは明確に業務量の不均衡が起きている状態です。

Westover(2025)は、「職務と雇用形態のミスマッチが続くと、当人のストレス耐性を超え、最終的に労働離脱や職場不信につながる」と警告しています(Westover, 2025, https://doi.org/10.70175/hclreview.2020.17.1.3)。

まずは、自分の担当業務を書き出して「契約内容と合っているか」客観的に確認することが第一歩です。

10-2. 社員からのプレッシャーを断るには?

社員から頼まれた仕事を断るのは勇気がいりますが、遠慮しすぎると業務の境界線がどんどん曖昧になります。

断り方のコツは、「できない」ではなく「どう対応すべきか相談したい」というスタンスで伝えることです。
たとえば、

  • 「今のタスクが手一杯でして、どれを優先すればいいでしょうか?」
  • 「この業務を新たに担当する場合、どこを調整できますか?」

このような言い回しは、協力的な印象を与えつつ、現実的な業務負荷の見直しを促すことができます。

10-3. 「無理」と伝えると印象が悪くならないか心配です

その不安はもっともですが、実は「何でも受ける人」よりも、「自分の限界を伝えられる人」の方が長期的には信頼されやすい傾向があります。

Wieczorek & Kaznowski(2024)は、無理を続ける従業員は一時的に高評価を得るが、中長期的にはパフォーマンスの質が下がり、職場全体の生産性に悪影響を及ぼす可能性があると報告しています(Wieczorek & Kaznowski, 2024, https://doi.org/10.4467/25436104hs.23.005.19117)。

無理をせず「丁寧に断る力」は、立派なビジネススキルの一つです。

10-4. ミスを避けるために仕事を抱え込んでしまう

完璧を目指す真面目な人ほど、「自分でやった方が確実」と感じ、仕事を抱え込みがちです。
しかし、それは結果的に自分自身の負荷を増やし、かえってミスを誘発するリスクにもなります。

Howard(2015)は、責任感と完璧主義が強い人ほど、自己犠牲傾向が高く、燃え尽き症候群に陥りやすいと警告しています(Howard, 2015, https://spark.parkland.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1145&context=ah)。

「信頼して任せる」「人に頼ることもスキルの一つ」と捉える視点が、長く続けるコツです。

10-5. 他の人も同じだから我慢するしかないの?

いいえ、それは誤った“同調圧力”のなかにいる可能性があります。

Albalawiら(2023)の研究でも、同じ悩みを抱えたまま、表面的には問題視されない職場ほど、離職率や不満の蓄積が高まる傾向があるとされています(Albalawi et al., 2023, https://www.benkjournal.com/article/download/458/402)。

「みんな我慢してるから私も」という考え方は、長期的に見れば誰も得をしません。
最初に声を上げるのは勇気がいりますが、それが周囲にとっても良い変化のきっかけになることがあります。

ポイント

  1. 自分の仕事が契約内容を超えていないかを見直すことが重要
  2. 断るときは「協力的に相談する」姿勢で伝えるのがコツ
  3. 無理を言わない=信頼されない、ではない。長期的な信頼構築が大切
  4. 抱え込みすぎはかえってリスクを増やす結果になる
  5. 「みんなも同じ」という思い込みから抜け出すことが、変化の第一歩

11. まとめ

「パートなのに仕事が多すぎる」。その違和感の裏には、現代の職場が抱える構造的な問題と、働く個人の“いい人でいようとする”無意識の習慣が重なっています。

この記事では、「なぜこんなにも仕事が多くなってしまうのか?」という原因の整理から始まり、そのまま放置すると心身にどのような影響を及ぼすか、そして具体的にどう対処すればいいのかという実践的なヒントを多角的にご紹介してきました。

あなたの「違和感」は、無視していいものではありません。

たとえ「パート」という立場であっても、過度な負担を背負って良い理由にはなりません
また、「仕事を減らしたい」と感じることは、決してわがままではなく、長く健康的に働くために必要な視点です。

専門的な研究でも、職場で自分の役割や限界を言葉で共有できる環境の有無が、バーンアウトや離職リスクに深く関わっていると示されています(Howard, 2015, https://spark.parkland.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1145&context=ah; Albalawi et al., 2023, https://www.benkjournal.com/article/download/458/402)。

この記事では以下のようなポイントに触れました

  • 業務量の見える化で、現状を客観視する
  • 無理を伝えるスキルを持つことで、摩擦を減らしながら調整する
  • 断ることへの罪悪感を手放し、健全な関係を築く
  • 私生活を圧迫しない時間設計や習慣を取り入れる
  • どうしても通じない環境には、転職という選択肢も視野に入れる

こうした一つひとつの行動が、結果として「私はこの仕事で、この範囲で働きたい」と自分の働き方に自信を持てる状態へとつながっていきます。

働き方は変えられる。そして、変えていいのです。

最後にお伝えしたいのは、「あなたには、働き方を選び直す権利がある」ということ。
今の職場で少しずつ改善していく方法もあれば、新しい環境に飛び込むこともできます。
そのどちらを選んでもいいのです。重要なのは、自分の心の声に正直になることです。

過度な責任感に縛られすぎず、他人の期待に応えすぎず、あなた自身のために働くという視点を忘れないでください。

あなたの違和感は、あなた自身を守るための「大切なサイン」です。
どうか、それを無視しないでください。

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