何者にもなれない不安に効く7つの考え方とは？

何者にもなれない不安は、他人との比較と承認欲求から生まれます。考え方を変えることで心は軽くなります。

「自分はこのままでいいのだろうか？」「何者にもなれないまま終わってしまうのでは？」
そう感じて胸がざわついた経験はありませんか？

SNSや周囲の成功話に触れるたび、自分だけが取り残されているような、焦燥感や劣等感に襲われることがあります。特別な才能も実績もない。社会の中で“何か”にならなければ、生きている価値がないような気がしてしまう。そんな思いに囚われてしまうのは、あなただけではありません。

実は、「何者にもなれない」と感じる不安の正体には、他者との比較や社会的承認への過剰な欲求が深く関わっています。そしてその感情は、あなたの価値を否定するものでは決してありません。むしろ、現代社会で真面目に生きようとする人ほど抱きやすい“心の痛み”なのです。

この記事では、そうした葛藤に対して、心理学や社会学の研究、そして実体験をもとにした「7つの考え方」を紹介します。
いずれも、「何者かになる」ことではなく、“今ある自分”の価値を再発見するための視点です。

また、この記事の中では以下のような疑問にも答えていきます。

• なぜ自分だけが劣って見えるのか？
• 自己肯定感はどうすれば育つのか？
• 「好きなこと」だけで生きていくのは現実的なのか？
• 誰かの役に立てていないと意味がないのか？

さらに、社会的承認と自尊心の関係やSNSによる比較の影響などについても、信頼できる学術論文の知見を交えて詳しく解説します。この記事を読み終えるころには、あなたの中にある“価値”が、少しずつ見えてくるはずです。

1. 自分は何者か？「なれない不安」の正体

何者にもなれないという感情は、自己像と理想像のギャップから生じやすい。

「自分はこのままでいいのか」。そんな問いが心に浮かぶとき、多くの場合、それは「何者にもなれていない」という漠然とした不安から来ています。
けれどこの不安は、あなたが怠けているからでも、能力が足りないからでもありません。むしろ真面目で、自分の人生ときちんと向き合おうとしている証拠ともいえます。

ここでは、この「なれない不安」がどこから生まれるのかを見つめ直し、その背景にある構造を紐解いていきましょう。

1-1. 「何者かになりたい」と思うのはなぜ？

子どもの頃、大人たちに「将来は何になりたいの？」と繰り返し聞かれた記憶はありませんか？
この問いかけは善意に基づくものかもしれませんが、社会の中で“何者か”になることが当然という前提を私たちの中に根づかせます。

学生時代は、肩書きや所属（高校名・大学名）が一つの“証明”として機能しますが、社会に出ると一気にその明確な指標が薄れます。
目標や正解がなくなる中で、「私は何の役にも立っていないのでは？」「このまま凡人のまま人生が終わるのでは？」という焦りが強くなるのです。

こうした状況で湧き上がる「何者かになりたい」という願望は、存在価値を確かめたいという人間的な衝動ともいえます。誰かに認められたい、役立ちたい、貢献したい。そんな気持ちは決して間違っていません。ただ、それが強すぎると「今の自分」を否定するような自己攻撃に変わってしまうのです。

1-2. 不安の裏にある“比較癖”と承認欲求

現代社会では、SNSやニュースを通じて他人の成功が毎日目に飛び込んできます。
「20代で起業」「30代でFIRE」「ベストセラー作家」…そういった情報を見れば、自分がどれだけ地味で取り柄のない存在かと落ち込んでしまうこともあるでしょう。

でも、忘れてはいけないのは、目に見える“実績”だけが人生の価値ではないということ。SNSに映るのはごく一部の切り取られた成功であり、裏にある苦労や平凡な日常は隠れています。

また、「比較癖」は脳の防衛本能に近い反応でもあります。他者よりも優れていたい、取り残されたくないという気持ちは、集団の中で生き延びるために備わったもの。ただ、現代の情報過多の環境ではその機能が過剰に働き、慢性的な自己否定を生み出してしまうのです。

1-3. 「凡人でいい」と思えない時の心理構造

「凡人でいい」と頭で理解していても、心が追いつかないという声は少なくありません。
それは、社会が“特別な人”にしかスポットライトを当てない構造になっているからです。メディアに登場するのはトップ1％の人々ばかり。けれど実際は、ほとんどの人が「特別ではない普通の人生」を歩んでいます。

では、「凡人であること」は本当に問題なのでしょうか？

答えはNOです。むしろ、凡人であるからこそ持てる視点、支えられる関係性、築ける日常があります。
「特別にならなくては」と思い込んでしまう背景には、自分の存在価値を誰かの基準で測ろうとする癖があります。けれど、本当の価値は、他人の評価軸ではなく、自分だけの体験・感情・想いの中にこそ宿るものです。

ポイント

• 「何者かにならなければ」という思いは、社会から刷り込まれた期待が原因
• SNS時代の比較癖は承認欲求を過剰に刺激する傾向がある
• 凡人であることは欠点ではなく、そこにしかない価値がある

2. 他人と比べて「何者にもなれない」と感じるとき

他人との比較により生まれる承認欲求は、自己理解を妨げやすい。

「何者にもなれない」と感じる瞬間の多くは、自分ひとりでそう思っているわけではありません。
それは、他人の成功や評価と自分を比べることから生まれているのです。SNSの投稿、同期の昇進、同級生の起業報告。
どれも「私には何もない」と感じさせる強い刺激となります。

しかし、それは本当に「事実」なのでしょうか？
この章では、他者との比較がもたらす心理的影響と、それが自己理解や自尊心に与えるゆがみを明らかにしていきます。

2-1. SNSが生み出す「相対的不幸」

SNSは便利で楽しい反面、「自分の平凡さ」を強く意識させる装置でもあります。
他人のキラキラした日常、キャリアの成功、幸せそうな家庭…こうした情報は「見せたい部分」だけを切り取ったものであるにもかかわらず、私たちはそれを“その人のすべて”だと錯覚してしまう傾向があります。

たとえば、自分の失敗や孤独な時間は表に出さない一方で、誰かの成功体験は日に何度も目に入る。
このような状況では、「相対的不幸（自分だけが遅れている・劣っている）」という感覚が強まり、自分の歩みを肯定することができなくなってしまうのです。

この“比較”の連続によって、自信を失い、「何者にもなれない」と思い込んでしまうサイクルが形成されていきます。

2-2. 社会的承認が歪める自己理解

他者からの承認を求める気持ちは、人間の基本的な欲求のひとつです。しかしその強さが過剰になると、自分を自分で理解する力が損なわれることもあります。

哲学者フレドリク・ウェスタルンドの論文では、こう指摘されています。

「人は社会的承認を得ようとするあまり、自己理解を歪めることがある。承認されたい気持ちが強すぎると、自分の本心を無意識に偽るようになる」
（Westerlund, 2019, https://doi.org/10.1007/978-3-030-18492-6_11）
〈参考文献：社会的承認が自己理解をどのように歪めるかを実存的観点から考察。内面に向き合うことの困難さと限界を論じる。〉

つまり、社会からの評価を得ることを最優先すると、本当の自分の声を聞き取る力が弱くなっていくのです。
他人にどう思われるかを気にしすぎることで、自分が何を感じているのか、何を大切にしたいのかがわからなくなる。

この状態では、たとえ何者かになっても、自分の中に満足感や納得感が生まれにくいのです。

2-3. 自尊心は「承認の変化率」で動く

さらに興味深いのは、「自尊心」が一定のものではなく、他者からの承認の“変化”によって変動するという研究結果です。

ヴェニーズ・アジボドゥ（2022）の論文によれば、自尊心とは「承認のレベル」ではなく、
“承認が増えているか、減っているか”という変化率を敏感に反映する心理的指標だとされています。

「人は現在の社会的地位そのものではなく、他者からの評価が上がっているか下がっているかに強く反応する。これが自尊心の変動をもたらす」
（Adjibodou, 2022, https://doi.org/10.1038/s41598-022-10260-6）
〈参考文献：社会的承認が変動する過程と、それに伴う自尊心の動きについての心理モデルを提案。自己評価の不安定性を説明。〉

つまり、たとえ自分の環境が悪くなくても、他人が評価されているように見えるだけで、自尊心が下がってしまうのです。
このような「相対的な自己評価」は、私たちの心の安定を大きく揺るがします。

ポイント

• SNS時代では「比較」が日常化し、自分を低く見積もる原因になる
• 社会的承認を求めすぎると、本当の自分がわからなくなる恐れがある
• 自尊心は承認の“量”より“増減の傾向”に影響されやすい

3. 自分の価値が見えないときに効く7つの考え方

「何者かになる」以外にも、日常の中で価値を見出す思考転換が存在する。

「自分には何の価値もない」。
そう思い込んでしまうとき、人は往々にして“社会的な成功”や“特別な存在”と自分を重ねようとしています。
けれど、価値は他人の目に映るかたちで決まるものではありません。
この章では、学術的知見と実体験に基づいて「自分の価値」を再認識できる7つの考え方を紹介します。

3-1. 成果より「過程」で自分を測る

何かを成し遂げたかどうか、という結果ばかりに目を向けてしまうと、ほとんどの人は自信を失います。
しかし、どれだけ行動したか、続けられたか、丁寧に向き合ったかという「過程」こそが、その人自身の価値を物語るものです。

たとえば、毎日職場で地味な業務をこなしている、介護を続けている、勉強や創作を少しずつ続けている。
一見して目立たない営みこそ、“自分を大切にする力”や“他人を支える力”を静かに育てているのです。

価値とは、他者に認知されることだけでなく、あなた自身が誠実に向き合った時間の中にも存在するという視点を持ってみましょう。

3-2. 幸福感を阻む「社会的評価」依存

大学生を対象にした研究では、「社会的承認への依存」が幸福度を大きく下げる要因であることが明らかになっています。
この研究では、社会的不安が、承認欲求と幸福度の関係において仲介的な役割を果たすと結論づけられています。

「社会的承認を求める人は、他者の評価に敏感になりすぎて不安が強まり、幸福感が著しく低下する傾向にある」
（Karaşar & Baytemir, 2018, https://doi.org/10.13189/UJER.2018.060513）
〈参考文献：社会的承認欲求が強まると社会不安が増し、幸福度を下げる。若年層の承認依存傾向を警告。〉

つまり、他人からの承認ばかりを追い求めてしまうと、「今ここにある幸せ」を感じ取る力が弱くなるのです。

この視点から考えると、「何者かになること」自体を幸福と直結させるのではなく、“どう在るか”そのものが幸福の条件であることに気づかされます。

3-3. 女性の承認欲求とうつ傾向の関連性

とくに女性の場合、「人からどう見られているか」への敏感さが自尊感情に強く作用する傾向があります。
2021年の研究によると、社会的承認の必要性が高まると、自己検閲が強まり、抑うつ感情を引き起こしやすくなることが示されました。

「社会的承認を求める女性は、感情や本音を抑えこむ傾向があり、それがうつ状態と中程度の正の相関を持っている」
（Yukay Yüksel et al., 2021, https://doi.org/10.21733/IBAD.845313）
〈参考文献：社会的承認欲求が強い女性ほど自己検閲傾向が高まり、それが抑うつ感情と相関することを実証。〉

この研究から見えるのは、自分を抑える＝人から好かれる、という構図の危うさです。
もし「本音を言えない」「嫌われるのが怖い」という理由で自分を制限しているなら、あなたはもう十分に頑張っています。
自分を犠牲にしてまで「認められよう」としなくてよいのです。

ポイント

• 自分の価値は、他者評価ではなく「向き合い方」や「過程」に宿る
• 社会的承認への依存は幸福感を著しく下げる可能性がある
• 自分を抑えて生きると、長期的にメンタルヘルスに悪影響を与える

4. 「何者か」になるよりも大切なこととは？

外的評価ではなく、自分自身の価値観を軸に生きる視点が重要。

「何者かにならなければ」と焦る気持ちは、多くの人にとって切実な悩みです。
けれど、その問いに振り回されすぎると、人生そのものが“他者の期待に応えるための競争”にすり替わってしまいます。
この章では、「何者かになる」ことよりも、もっと本質的で、心を穏やかにする視点について考えてみましょう。

4-1. 自分だけの「好き」を貫く勇気

どんなに些細でも、誰かに評価されなくても、「これが好き」と思えることがあるなら、それはすでにかけがえのない価値です。
けれど多くの人は、「好きだけでは食べていけない」「評価されなきゃ意味がない」と感じ、それを捨ててしまいます。

たとえば、絵を描くことが好きな人が「プロじゃないから」と筆を折る、文章を書くのが好きだけど「読まれないから」とやめてしまう。
これは非常にもったいないことです。なぜなら、“好き”という感情は、自分の存在を確認できる最も個人的な手がかりだからです。

「何者かになる」ことにこだわると、好きだったはずのものも評価軸に組み込まれてしまいます。
「この趣味で収入が出ないのは価値がない」「SNSでバズらなければ意味がない」。
こうした考えが強まると、やがて何も好きでいられなくなってしまうのです。

評価されなくても、成果が出なくても、「ただ好きだからやる」。
そんな姿勢こそが、他人の期待に惑わされず“自分を生きる”ということなのではないでしょうか。

4-2. 自己肯定ワークは有効か？

「自分の価値を見失ってしまった」という人に効果的なのが、自己肯定感を高めるワーク（自己肯定的介入）です。

スタンフォード大学のコーエンらによるレビュー論文では、自己肯定の実践がストレスや自己防衛反応を抑え、教育や人間関係にも良い影響を与えるとされています。

「自己肯定の介入は、自分の大切な価値を見つめ直すことで、外部からの評価に振り回されずに生きる力を育てる効果がある」
（Cohen & Sherman, 2014, https://doi.org/10.1146/ANNUREV-PSYCH-010213-115137）
〈参考文献：自己肯定的介入が心理的脅威を弱め、社会的圧力からの自律性を育む過程を解説。長期的なパフォーマンス向上にも寄与。〉

この介入はたとえば、「自分にとって大切な価値観は何か」「どんなときに誇らしかったか」などを紙に書き出すことで行います。
時間も道具も必要なく、1日数分の振り返りでOK。過小評価しがちな“自分自身”との再接続が目的です。

「何者にもなれていない」と感じるときこそ、このように自分の内側にある価値を静かに見つけ直すことが、回復の第一歩になります。

ポイント

• 「好き」を貫くことは、他人に流されない“自分の人生”を生きる核となる
• 自己肯定感は書き出しなどのワークで高めることができる
• 外的評価に囚われるより、自分の価値観に根ざした行動が安定感を生む

5. Q&A：よくある質問

5-1. 何者にもなれないまま人生が終わるのでは？

そう感じるとき、人は未来に対して「今の自分のままでは価値がない」という前提を持っています。
しかし、人生において“何者か”になるかどうかは、線引きできるゴールではありません。

ほとんどの人は、特別な肩書きや偉業を残さなくても、日常のなかで誰かを支え、何かを選び、誰かとつながりながら生きているものです。

「今ここにあるものをどう扱うか」「日々何を選んで生きているか」こそが、自分自身の軌跡であり、価値そのものといえるでしょう。

5-2. 自己肯定感がどうしても持てません。

自己肯定感は「持とう」としてすぐに持てるものではなく、小さな達成体験と安心できる人間関係の積み重ねによって育まれます。

また、ネガティブな感情を無理に否定することは逆効果です。「今日の自分はうまくできなかった」と感じても、それを否定するのではなく「そんな日もあるよね」と受け入れることが、自己肯定の第一歩になります。

大切なのは、「できたこと」「嬉しかったこと」「ほっとした瞬間」など、ポジティブな経験を日々少しずつ見つけ、記録していくことです。

5-3. 他人の成功を見て落ち込むのは甘え？

甘えではありません。人は本能的に他者と自分を比較してしまう生き物です。
それは集団の中で生き残るための進化的特性とも言われています。

大切なのは、「比較してしまう自分」に気づいたら、そこに価値判断を加えないこと。
「私はまだダメだ」ではなく、「そう感じてしまうのは自然なこと」と自分に言ってあげてください。

そのうえで、自分の歩みの中で「昨日よりよかったこと」をひとつでも見つけてみると、心が落ち着きやすくなります。

5-4. 理想の自分って必要ですか？

答えは「Yesでもあり、Noでもある」です。

ロンドンでの青少年を対象とした研究によると、理想の自分を描くことがモチベーションになることもある一方で、それが“現実逃避”になる場合もあると指摘されています。

「人間関係の肯定は、自尊心と目標追求の動機の関係を仲介する。つまり“自分はこうなりたい”という想いは、支えがあって初めて力になる」
（McGranahan, 2017, https://doi.org/10.25602/GOLD.00020518）
〈参考文献：理想の自己と目標追求の関係性を実証。支援的関係があってこそモチベーションが持続するとする。〉

つまり、理想を持つこと自体は悪くないのですが、それが苦しさの原因になっているなら、「今の自分も十分に価値がある」と見直す時間が必要です。

5-5. 他人の目が気になるのはなぜ？

それは、人間にとって「社会に受け入れられること」が生存本能に根ざしているからです。
社会的な評価や承認を気にするのは、自然で必要なことでもあります。

しかし、承認を求めすぎると、自己検閲（＝本音を隠してしまうこと）や抑うつのリスクが高まると研究でも明らかになっています。

「社会的承認の必要性が高い女性は、自己検閲が強まり、抑うつ状態に関連する傾向がある」
（Karakaya & Ünal, 2023, https://doi.org/10.32600/huefd.1143283）
〈参考文献：社会的承認と自己検閲・抑うつ傾向の関係性を大学生の調査で実証。心理的健康への影響を指摘。〉

必要なのは、“他人の目を完全に気にしない”ことではなく、「気になるけど、それに支配されない」態度を持つことです。
そのためには、自分が信頼できる人間関係や居場所を少しずつ築くことが有効です。

ポイント

• 「何者かになる」よりも、日々どう在るかが人生の価値を形づくる
• 自己肯定感は小さな気づきと人との関わりで育つ
• 理想像や他人の目に囚われすぎず、“今の自分”を肯定することが大切

6. まとめ：何者にもなれない不安との向き合い方

「何者にもなれない」という感覚は錯覚であり、自分の価値はすでに日常の中に存在している。

ここまで「何者にもなれない」という不安について、その正体と背景、そして乗り越えるための考え方を掘り下げてきました。
あなたがこの不安を抱くのは、弱さではなく、誠実に人生を生きようとしている証拠です。

私たちは、何かにならなければ価値がないと教えられ、他人と比べては自信を失い、SNSの中で目に見える“成功”に押しつぶされそうになります。
しかし、こうした不安や焦燥は、他人の価値軸を自分に当てはめてしまっていることから生じているのです。

◆ この記事で紹介した「7つの考え方」

1. 自分は何者か？という問いに苦しむのは、真面目に生きたい証である
2. SNSや比較癖が、必要以上に自尊心を下げてしまっている
3. 他者評価ではなく、自分の“過程”や“姿勢”に価値を見出すことができる
4. 幸福は、承認されることではなく、自分の信じる価値観で生きることにある
5. 「好き」を貫く姿勢が、自分だけの軸を育てる
6. 理想像に囚われすぎると苦しくなる。今の自分にも目を向けてみる
7. 他人の目が気になるのは自然なこと。だが、そこに飲まれすぎないことが大事

◆ 最後に：すでにあなたは、何かになっている

あなたは「何者にもなれない」と思っているかもしれません。
でも、誰かを励ました日、見知らぬ人に優しくした日、傷ついた自分にそっと寄り添った日があるはずです。
そのすべてが、あなたという人の証であり、あなたの価値のかけらなのです。

「特別な肩書き」や「圧倒的な成果」だけが、存在価値を証明するものではありません。
目立たない努力、見返りのない行動、名前のつかない優しさ——それらは決して“なにもない”わけではなく、むしろ最も人間らしい「在り方」なのではないでしょうか。

最後に、先述した論文（Cohen & Sherman, 2014）でも示されていたように、自分自身の内側にある価値を見つける作業は、人生を再び主体的に歩む第一歩です。

あなたは、すでに何者かになっています。
それに気づくまでの時間が、ただ少しだけ、必要だっただけなのです。

ポイント

• 何者かにならなければという思い込みが苦しさを生む
• 自分の価値は外ではなく内側にあるものとして見つけ直せる
• 「何者か」よりも「どう在るか」が人の人生を支えていく