あなたは●●な人だ。
と決めつけられていると感じて嫌な気持ちになったことはないでしょうか。
また、そう言われたから、
そうか、私はそういう性質・性格の人間なのだ。
と思い込んでしまってはいないでしょうか。
多くの方々が共感を覚えるであろう、個々の特徴や人物像を一言で説明しようとする試み。
私たちはしばしば、他者に対しても、そして自身に対しても、このような評価を下しています。
人は基本的にシンプルな思考をするようにできている
私たちは往々にして、人が持つ多面的な側面を無視し、一つの特徴に焦点を当てて考えてしまいます。
これは、脳が情報をシンプルに処理しようとする結果であり、このプロセス自体は決して悪いものではありません。
人間は本能的に思考をできるだけシンプルにし、脳に負荷をかけないようにする生き物です。
その方が生存確率が高くなるから、物事に対して唯一の見方、捉え方、解釈をしようとします。
それは、先入観だったりある程度の経験則からそのように考えます。
しかし、それが引き起こす「決めつけ」や「思い込み」は、人としての成長や多様な視点の発見を阻む要因ともなりえます。
上記にある、「あなたは●●な人だ」とされる瞬間、私たちは一瞬でそのラベルに囚われてしまうかもしれません。
また、これは他者に対する評価においても言えることで、他者を一つの特性で評価してしまうことは容易いです。
しかし、あらゆる情報は複数の側面を持ち合わせていますし、流動的に変化もしていきますから、絶対これといったたったひとつのことに囚われず、もっと自由に考えた方がよいのではないかというのが私の考えです。
では、この情報の多面性をどのように考え、活かしていけばよいのでしょうか。
【CDDの法則】で思考の枠を拡げる
ある日、困難な課題や複雑な問題に直面したとき、私たちはしばしば一つのアングルや視点からしかその問題を考えられなくなります。
しかし、人間の思考はもっと広がりを持ち、多角的に事象を捉えることができるはずです。
私たちの思考はどのように進化してきたのでしょうか?
そして、その思考をより有効にするためにはどうしたらよいのでしょうか。
この疑問を解決する鍵として、私が考える【CDDの法則】について解説していきます。
CDDとは、
- Coin
- Dice
- Diamond
のそれぞれの頭文字を取ったものです。
勘の良い方はこれでピンと来たかもしれませんね。
この法則は、情報や事象をどのように捉えるか、そしてその捉え方がどのように私たちの行動や意思決定に影響を与えるかということに焦点を当てています。
確かに、状況や問題、情報を一つの角度からだけ見ることは簡単です。
しかし、それだけでは真実や本質を見逃してしまうことが多いのです。そこで【CDDの法則】が役立ちます。
例として、ある物事を見るとき、コインのように二つの面だけを見る「コイン的思考」、それをさらに拡張して6つの面を持つダイスのように複数の視点から捉える「ダイス的思考」、さらには多数のカット面を持つダイヤモンドのように非常に多面的な視点で捉える「ダイヤモンド的思考」、これらの3つのアプローチを持つことで、より広い視野で事象を理解することができます。
どなたでも、この考え方を取り入れるだけで、思考の枠を広げることの重要性や、それを実現する手法の一つとしての価値を感じ取ることができるかもしれません。
そして、この法則を日常生活や業務に取り入れることで、多様な視点からの情報収集やアイディアの発想が可能になり、より質の高い意思決定や行動をするための助けとなることでしょう。
コイン的思考:2面性の理解
コインの考え方とは、
- 表か裏か
- 白か黒か
- 勝ちか負けか
- 正義か悪か
といった、極論に至りがちな思考の偏りを表します。
でも実際は、どちらの面も併せ持っているのが人間です。
例えば、
あなたは不親切だ!
と誰かに言われたとしましょう。
しかし、その人の見えていないところで、他の誰かに対して「親切」な行為を必ず行っているはずです。
生まれて今現在まで行ってきたすべての行為が100%、相手に対して「不親切」であるはずがないということです。
つまり、人は割合は違えど、どちらの面も持っているということです。
これを「コイン的思考」と言います。
もうひとつ例をあげましょう。
他人から、
あなたは大雑把な性格だから…。
と言われたとしましょう。
でも言い方、見方を変えれば「大らかな性格」とリフレーミングすることができます。
これは捉え方の裏表を利用した思考法であり、裏に取られたものを自分で表に変えてしまう方法です。
このように考えるだけで、人から言われたことに対して無駄に落ち込むことも少なくなるはずです。
コイン的思考は、物事には裏表があり、それぞれの事象や特性がポジティブな面とネガティブな面を併せ持っているという視点を私たちに気付かせてくれます。
一つの行動や特性が全てを物語るものではなく、裏側には見えない多くの要素が隠れているのです。
ダイス的思考:バランスの重要性
次に、この2面的な思考(コイン的思考)からもう少し、面を増やしてみましょう。
それが、ダイス的思考であり、6面体をイメージした思考です。
ここでは物事をどのように考えるのかと言うと、バランスを意識します。
サイコロには1から6まで数字が振られていますね。
そして、対面となる数字の和はどれも7になります。
- 1の対面は6ですから、1+6⁼7
- 5の対面は2ですから、5+2⁼7
といった具合にサイコロは作られています。
つまり、物事は対面できちんとバランスが保たれ、総合的な調和が測られているということです。
それは、一人の人間の中のバランスはもちろん、複数の人が集まったグループや組織、もっと言えば国のような大きな捉え方をしても同様です。
どこかの数字が多くなれば、どこかの数字が少なくなり、全てのバランスが保たれているということです。
このダイス的思考では、物事が持つバランスを大切にし、異なる側面を積極的に探る姿勢を重視しています。
これは社会やコミュニティにおける役割やバランスを理解する上で極めて有用であり、物事の総体を理解するためのアプローチとなります。
ダイヤモンド的思考:複雑さの魅力と受容
次は、さらにもっと面積を増やして考えてみます。
これが、ダイヤモンド的思考です。
非常に複雑なカットにより、魅力的な光を放つダイヤモンド。
これは人間の複雑さや奥ゆかしさ、多面性にもつながり、だからこそ美しいという考え方です。
物語のキャラクター設定について考えてみましょう。
例えば、英雄譚的な物語の主人公のキャラクター設定。
例えば、キャラクターAとB、それぞれの設定を比較してみましょう。
【キャラクターA】
超ポジティブな正義感の強い性格。
何があろうとこの性格は絶対に変化しない。
【キャラクターB】
基本ポジティブだけど、過去のトラウマに囚われてネガティブな思考に振れてしまうこともある。
過去、悪に手を染めてしまった自分を変えるため、正義を信じて人の役に立とうと努力している。
このAとB、どちらを主人公とした方が、魅力的な物語になりそうだと思いますか?
また、どちらの方が共感できそうですか?
そうですね、色々な面を持った複雑さこそ、人間らしさであり、自分と重ね合わせて共感できたりするのです。
このダイヤモンド的思考は、複雑で多面的な事象や人物を、その多様性として受け入れる考え方です。
これは、個々の特性や経験を理解し、複雑性と多様性を美しいものとして受け入れることで、更に深みと広がりをもった理解に繋がります。
まとめ:【CDDの法則】を基本とした思考法の実践と豊かな未来
何か物事を考えるときは、このように視点(面積)を、
「コイン」→「ダイス」→「ダイヤモンド」
というように拡張していきましょう。
大人になって参加した学生時代の同窓会。
あなたは昔から●●だからね~!
と言われたときの違和感(相手にはまったく悪気はない)。
相手は、当時の私の一部分を切り取って、それを未だに私の全体像であると考えています。
その頃から、私はたくさんのことを経験し、成長し、変化、進化してきたはずです。
ですから、そう言われたからといって、
そうか、この人の言う通り、やっぱり私は●●なのかな?
と真に受ける必要も思い込む必要も全くありません。
一つの考え方、解釈に囚われず、もっと多面的に、自由に発想していきたいですね。
私たちが日々遭遇する多くの情報や出来事、人々との交流において、この【CDDの法則】を活用することで、新しい視点や思考の枠組みが広がり、先入観に囚われない柔軟な思考が可能となります。
つまり、人や物事を一つの角度から判断せず、より深く、多面的に理解しようとするアプローチとなるのです。
私はこの【CDDの法則】は、私たちが自身を理解し、他者と協力し、社会やコミュニティを豊かにする上で強力なツールとなりうると信じています。
そして、これを実践することで、私たちのコミュニケーションや理解がより深まり、共感や尊重の気持ちが増すことでしょう。
最後に、私たちはこの多面的な思考法を通して、自身が持つ無限の可能性に気づくことができるのではないでしょうか。
【CDDの法則】をぜひあなたの日々の思考に取り入れ、より豊かな視点で物事を捉えてみてください。
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