コミュニケーションの難題
ねえ、あの件どうなってる?
あなたは、上司や友達から突然問い詰められた瞬間、不安感や緊張感を覚えたことはありませんか?
このような場面でしばしば起きる問題は、「報告できる段階にないと自分が感じている」一方で、「相手は何らかの進捗や情報を求めている」ケースです。
ここで役立つコミュニケーションテクニックが「2ステップコミュニケーション」です。
なぜ「2ステップコミュニケーション」なのか?
高速なレスポンスは確かに重要ですが、中途半端な情報を渡すことに抵抗がある人も多いでしょう。
しかし、相手もそれが進捗しているのか、計画がうまくいっているのかを知りたいわけです。
このジレンマを解決するためには、即座に現状をシンプルに伝え、その後詳細を追加するアプローチが有用となるのです。
- 即座に現状をシンプルに伝える
- その後詳細を追加する
このようにコミュニケーションのステップを2つに分け、レスポンスを早くしつつ、後追いで詳細を伝えることで、相手は安心し、あなたは信頼できる人だと感じてもらえます。
具体的なアクションプラン
それでは、実際にどのように2つのステップでコミュニケーションを取っていくのか、具体的なアクションをLINEのやり取りを例にご紹介します。
ステップ1:瞬間的なレスポンス
例えば、LINEでメッセージが来たとき、まずはスタンプを送るなどして相手に「メッセージを受け取った」という確認を与えましょう。
相手には「既読」が付くんだから必要ないじゃん。
と思うかもしれませんが、既読だけでは相手はどの程度理解したのか、どう感じたのかが不明瞭で、不安になってしまいます。
ステップ2:具体的なレスポンス
次に、以下のような具体的なレスポンスを提供します。
確認してみますので、回答まで少々お時間下さい。
今ちょっと手が離せないので、●時ごろ改めてご返信いたします。
「2ステップコミュニケーション」の事例
ここからは、さらに具体的な事例をご紹介します。
この事例は、私が過去、飲食店でアルバイトをしていたとき、実際に遭遇したエピソードです。
そして、その後も、この「2ステップコミュニケーション」は、スタッフ育成の現場で実績のあるコミュニケーション手法として導入されました。
飲食店での体験談
以前このようなエピソードがありました。
飲食店でお客様が、
寒いからエアコンの温度を上げてほしい。
とあるスタッフが言われました。
はい、かしこまりました。
と返事をして、エアコンの温度を上げたのですが、そのときはピークタイムで店内がバタバタしていたこともあり、そのスタッフは温度を上げたんだしまあ大丈夫だろうと他の業務に当たっていました。
しばらくすると、先ほどのお客様から、
ねえ、まだ寒いんだけど、どうなってるの!?
とお叱りを受けてしまったのです。
すみません、温度を上げたのですが…
とお伝えしたところで、すでにお怒りになっているお客様にとっては、それがむしろ言い訳がましく聞こえてしまい火に油を注ぐ結果になってしまったのです。
プロアクティブ(先回り)な対応の必要性
このケースを受け、私はどのように指導したのかと言うと、まず、最初の返答は問題ないです。
上記LINEの例で言うと、既読が付いた状態ですね。
問題は次に、どうしたのかできる限り早く伝えることが重要です。
これが1ステップ目のコミュニケーションで、LINEで言うと、スタンプを送る段階です。
今エアコンの温度を上げました。しばらくすると温度は上がってくると思いますが、それでも寒い場合はお気軽にお声かけ下さい。
そして2ステップ目のコミュニケーション。
この場合、さらに次を想定して対応することが重要です。
お客様、温度はいかがでしょうか?ひざ掛けなどお持ちしましょうか?
このように応待すれば、お客様は、
気を遣ってくれてありがとう、これで大丈夫ですよ。
または、
それではひざ掛けを貸していただけますか?
などの返答をいただけると想定でき、当然、不満よりも満足度の方が上回るのではないでしょうか。
まとめ:相手の信頼と満足を優先しよう
- 1ステップ目:進捗状況をできるだけ早く共有し、具体的な行動計画を伝える
- 2ステップ目:1ステップ目を踏まえてさらに詳細を提供し、相手の反応やニーズに柔軟に対応する
おそらくほとんどの方が、効率を考え、できる限り1度で全てを解決することを考え、1ステップ目を飛ばしてしまいがちです。
しかし、コミュニケーションを円滑にし、信頼関係を築くためには、1、2、そしてさらに3、4、5、と相手とのタッチポイント(接点)を増やしていくことの方が重要です。
その結果、相手からの信頼、または顧客満足度は上がり、LTV(顧客生涯価値)の向上につながるのですね。
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