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「頑張る意味がわからない」と思ったら|すべての努力は幸せにつながる7つの理由

「頑張らなきゃ」とは言われるけれど、「そもそも何のために頑張るのか」が分からなくなる瞬間は誰にでもあります。目標がぼやけて見えなくなったり、報われない努力を繰り返したり、自分だけが取り残されているような気がしたり――。そんなとき、ふと「頑張る意味がわからない」と立ち止まってしまうことは、決して珍しいことではありません。

でも、もしかしたら「頑張ることの意味」を探すのではなく、「頑張ることによって得られるもの」を見つめ直すことで、気持ちが少しずつ軽くなるかもしれません。

近年の心理学や幸福研究では、努力や創造的活動、他者への貢献、そして困難に立ち向かう経験などが、人生の幸福感や満足感と密接に関係していることが明らかになってきました。たとえ今が苦しくても、あなたの中にある小さな努力は、確かに未来の幸せへとつながっているのです。

この記事では、「頑張る意味がわからない」と感じたときの心理状態から始まり、実証研究にもとづいた“努力と幸福の関係”を丁寧に解説していきます。そして最終的には、「どんな頑張り方が、自分にとって幸せにつながるのか」を見つけるヒントをお届けします。

この記事は以下のような人におすすめ!

  • 「頑張れ」と言われるのがつらく感じる
  • 努力の先に何があるのかわからなくなっている
  • 報われないことばかりで心が折れそう
  • 幸せになるための“正しい頑張り方”を知りたい
  • 無理せずに前を向くためのヒントを探している

 目次 CONTENTS

1. 「頑張る意味がわからない」と感じる瞬間とは

「頑張る意味がわからない」と感じる瞬間は、多くの場合、努力と成果のバランスが崩れているときに訪れます。これまで積み上げてきた努力が何も報われない、誰かに認められることもない、目に見える成果もない――そんなとき、心の中に空洞が生まれるのは自然なことです。

この章では、なぜ人は「頑張る意味がわからない」と感じてしまうのか、その背景となる心理状態を丁寧に紐解いていきます。

1-1. 「頑張れ」と言われることがつらい理由

「頑張って」と言われるたびに、胸が苦しくなる人がいます。これは、「頑張ること」を当然とする社会の空気が、個人の心を追い詰めてしまっているからです。とくに日本では、「努力は美徳」とされる文化が根強く、つらくても笑顔で我慢し続けることが正しいとされがちです。

しかし、努力には限界があります。エネルギーも感情も有限です。誰かに「頑張って」と言われることがプレッシャーになるのは、「これ以上どうすればいいのか分からない」と感じているから。つまり、自分の内側にある“すでに頑張っている実感”と、他者からの期待のギャップが生まれているのです。

また、心が疲弊しているときには、頑張ること自体が「攻撃のように聞こえる」こともあります。言葉としては応援でも、本人にとっては「もっとやれ」「足りない」と責められているように受け取ってしまう――そのような状態では、頑張る意味が見えなくなるのも無理はありません。

1-2. なぜ私たちは“意味”を求めてしまうのか

人間は本能的に「意味のあること」に生きがいを感じる生き物です。心理学では、人生の“意味づけ”を「意味欲求(Meaningfulness)」と呼び、これが満たされないと、無気力や無価値感に陥りやすくなることが知られています。

努力や頑張りに対しても同様です。自分がやっていることが、何かしらの価値に結びついていると感じられなければ、どんなに立派な目標であっても、その途中で虚しさを感じてしまうのです。

2022年に発表された研究では、「努力から意味を見出す力」を持つ人ほど、人生満足度や仕事への充実感が高く、感情的幸福も大きいことが報告されています(Meaningfulness of Effort, 2022, https://doi.org/10.31234/osf.io/sg3aw)。
つまり、「頑張る意味がわからない」と感じるとき、それは単に疲れているだけではなく、「自分が生きている価値を見失いかけているサイン」でもあるのです。

1-3. 頑張っても報われない経験が心を折る

人は報われなかった経験が積み重なると、「もう頑張るだけムダなのでは」と感じてしまいます。特に学生時代や若手社会人のころに、努力の成果が結果として表れなかった経験があると、それがトラウマのように心に残ります。

さらに、「周りの人は簡単にうまくいっているように見える」という比較意識が、自分をより無力に感じさせます。SNSの発達により、他人の成果や充実している様子が常に可視化される今、「自分だけが頑張っても報われない」という錯覚に陥るのは自然な現象です。

実際、努力と成果の関係は直線的ではありません。2014年の研究では、努力をたくさんしたと感じている人ほど、成功したときの幸福感が高くなることが示されていますが、同時に成果が出ない場合は、失望感が増すリスクもあることが報告されています(Jiga-Boy, Toma, & Corneille, 2014, https://doi.org/10.1371/journal.pone.0101512)。

だからこそ大切なのは、「結果」ではなく「意味」に目を向けること。結果が伴わなかったとしても、努力したという事実は、自分を構成する大切な一部であり、未来に向けての財産でもあります。

ポイント

  1. 「頑張れ」という言葉がつらくなるのは、すでに限界に近づいているサイン。
  2. 人は「意味」を感じられないと、どんな努力も続けることが難しい。
  3. 報われない経験は心を折るが、それでも努力した事実は人生の一部として蓄積されている。

2. 頑張ることが「幸せ」につながると実証された7つの理由

「頑張っても意味がない」と感じる背景には、努力が必ずしも目に見える成果に結びつかない現実があります。しかし、最新の心理学・幸福研究では、「努力そのもの」が人生の幸福や充足感と深く結びついていることが、多数の研究から明らかになっています。ここではその中でも代表的かつ信頼性の高い知見を紹介していきます。

2-1. 創造的努力が仕事や人生の意味を育てる(Sherman & Shavit, 2018)

日々の仕事や活動に「創造性」を加えることは、幸福感を高める強力な要因となります。
イスラエルの労働者922人を対象とした研究では、「自分なりに創意工夫しながら働く」ことが、人生の意味や目的意識、ポジティブな感情、そして人生全体の評価を高めることが明らかになりました(Sherman & Shavit, 2018, https://doi.org/10.1007/S10902-017-9910-X)。

興味深いのは、「創造的努力」は単なる成果主義とは異なる点です。たとえば「もっと効率よく仕事をこなす」「職場を居心地よくする工夫をする」「チームメンバーに気配りをする」といった、楽しさや意味を自分でつくり出す努力が、自分自身の幸福を大きく底上げしているのです。

さらにこの研究では、「創造的な仕事」「自律性の高い働き方」「知的好奇心を満たす活動」が、幸福感に強く寄与することも示されました。これは、外からの評価や報酬ではなく、内発的な動機(自分からやりたいという気持ち)に支えられた努力こそが、人の心を満たすのだということを示しています。

つまり、頑張ることがつらいときでも、やり方を少し変えて「自分なりに工夫する」「楽しめる余白をつくる」ことによって、その努力自体が「生きがい」や「自己肯定感」へと変わっていくのです。

2-2. 努力そのものが人生の目的を生む(Meaningfulness of Effort, 2022)

努力の価値を測るとき、つい「成果が出たかどうか」で判断しがちですが、実は努力している最中にすでに“意味”は育まれているという視点もあります。

2022年の研究では、「努力の意義尺度(Meaningfulness of Effort Scale)」を開発し、5つの異なる調査で計1,468人を対象に実証研究を行いました。その結果、「努力に意味を感じられる人」ほど、高い人生満足度・仕事満足度・感情的な幸福度・自己肯定感を持っていることが明らかになっています(Posted Content, 2022, https://doi.org/10.31234/osf.io/sg3aw)。

この研究で重視されているのは、「努力が目的を生む」という構造です。
つまり、初めは「なんとなく始めたこと」でも、そこに力を注いでいくうちに、自分にとっての意味や目的が後からついてくる、ということです。

さらに興味深いのは、退屈な作業や単調な業務の中にも、意味を見出せる人は幸福度が高いという点です。これは、たとえ“やらされ感”のある仕事であっても、自分なりの視点でその努力に意味を持たせることができれば、人生に対する前向きな感覚が育まれることを示唆しています。

「何のために頑張っているのか分からない」という気持ちがあるときこそ、まずは今している努力に“意味を与える工夫”をしてみる。そうすることで、見えてくる未来の輪郭が変わってくるのです。

2-3. 努力は「成功体験」の幸福度を高める(Effort-Affect Prediction, 2014)

「これだけ頑張ったのだから、うまくいってほしい」。私たちは、そう思いながら物事に取り組むことがよくあります。では、実際にその努力が成功したとき、人はどれだけ幸福を感じるのでしょうか?

この問いに答える研究として、博士課程の学生を対象にした調査があります(Jiga-Boy, Toma, & Corneille, 2014, https://doi.org/10.1371/journal.pone.0101512)。彼らは論文投稿に際して「どれだけ努力したか」と「採択されたらどれだけ嬉しいか」を予測しました。すると、努力したと感じているほど、成功時の幸福度が高まるという結果が得られたのです。

また同研究の実験パートでは、広告スローガンを考えるというタスクで、意図的に「高い努力をさせる」グループと「少ない努力で済ませる」グループに分け、成果への満足度を比較しました。結果はやはり、多くの努力を費やしたグループのほうが、自分の作品の質を高く評価し、成功した際の予測幸福度も高かったのです。

面白いのは、実際のアウトプットには大差がなかったにもかかわらず、「頑張ったという実感」が成功への期待と幸福度に強く影響していたという点です。つまり、努力そのものが、“幸せになる準備”を心の中で整えているとも言えるでしょう。

この研究は、成功の価値は結果の質だけでなく、そこに至るまでの努力の量や質によって心理的に増幅される、ということを明確に示しています。

2-4. 思いやりや他者貢献も「努力」であり幸福の鍵(Wea et al., 2023)

「努力」と聞くと、つい仕事や勉強などの“自己成長のための行為”を思い浮かべがちです。しかし実は、他者のために行う努力=利他的行動も、個人の幸福度を大きく高めることが研究で示されています。

2023年にインドネシアの高校生を対象として行われた研究では、共感力、利他行動、社会的責任感、良好な人間関係が幸福感と密接に関わっていることが明らかになりました(Wea & Hamu, 2023, https://ejournal.undiksha.ac.id/index.php/JJPGSD/article/download/63589/28046)。

この研究では、「人のために動く」「困っている人に手を差し伸べる」「仲間の気持ちを想像する」といった行動も、“努力”の一種として扱われています。そしてこうした努力をする人ほど、人生の満足度が高く、学業や対人関係でも良い成果を上げる傾向があると報告されました。

この背景には、「誰かに役立っている」という実感が、自己肯定感や社会的つながりを強める働きがあるからだと考えられています。

つまり、「自分のための努力」だけでなく、「誰かのための努力」も、幸福の根幹を支える大切な力になるのです。人は“誰かに必要とされている”と感じたとき、頑張ることの意味を取り戻せるのかもしれません。

2-5. 自由意思による努力は深い充実感を与える(Waterman, 2005)

同じ「努力」でも、その根底にある動機が「やらされている」ものか、「やりたいからやっている」ものかによって、感じる幸福度は大きく異なります。心理学では、後者を“内発的動機づけ”と呼び、人生の充実感や自己実現とのつながりが強いとされています。

Waterman(2005)の研究では、大学生を対象に、努力が必要な活動とそうでない活動を比較。両者が楽しさを感じる点では共通していたものの、努力が必要な活動のほうが、フロー(没入感)や自己表現の感覚、自己実現の価値がはるかに高いことが明らかになりました(Waterman, 2005, https://doi.org/10.1007/S11031-005-9440-4)。

つまり、時間もエネルギーもかかるけれど「やりたいからやっている」という努力こそが、最も深い充実感や幸福感につながるということです。

この研究は、頑張ることの本質を大きく見直す契機となります。結果を求めて必死になるよりも、「自分にとって意味があることに集中して努力する」ほうが、心はずっと満たされるのです。

頑張る意味がわからなくなったときこそ、「それは本当に自分がやりたいことなのか?」と問い直してみることが、人生を前向きに切り開く第一歩になるのかもしれません。

2-6. 痛みや困難も幸福に不可欠な要素(De Prycker, 2023)

「楽しいことが多ければ多いほど、人生は幸せだ」。そう思ってしまいがちですが、現代の幸福研究は、それが誤解であることを教えてくれます。
実際、努力や苦痛、逆境といった“ネガティブな体験”が幸福感の本質に深く関係しているとする研究もあります。

哲学と心理学の観点から書かれたDe Prycker(2023)の論文では、「努力のない幸福」や「感情を無理にポジティブへ変えること」の問題点が指摘されており、痛み・困難・努力といったプロセスそのものが、人生の意味や幸福感に深く貢献していると論じられています(De Prycker, 2023, https://doi.org/10.21825/philosophica.82185)。

この視点では、幸福とは単なる「快の最大化」ではなく、「価値ある困難を乗り越えることによって得られる深い満足感」だと捉えます。実際、多くの人が、困難を乗り越えた後にこそ、自分自身の成長や人生の意味を強く実感しているのではないでしょうか。

「No pain, No gain(痛みなくして得るものなし)」という言葉は、表面的には体育会的な響きを持ちますが、心理学的にも一定の真理を含んでいます。あえて困難に挑戦する、葛藤に立ち向かうというプロセスが、自己肯定感や達成感を生み出す土壌となるのです。

このように、「つらい」「苦しい」と感じる努力も、適切に意味づけされれば、それ自体が幸福へとつながる豊かな体験になりうるのです。

2-7. 努力が感情面の幸福と人生満足度を支える(Berlin & Fors, 2017)

人生における「満足」と「幸福」は、似ているようでいて、実は異なる概念です。前者は長期的な評価、後者は日々の感情に近いもの。では、このふたつはどのように努力と関係しているのでしょうか?

Berlin & Fors(2017)の研究では、スウェーデン人252名を対象とした経験サンプリング法によって、「人生満足度」と「情動的幸福(感情面での幸福)」の関連を調査しました。その結果、両者の相関は0.78〜0.91と非常に高く、長期的な充実感と日々の幸福感が深く結びついていることが明らかになっています(Berlin & Fors, 2017, https://doi.org/10.2139/ssrn.2931234)。

そしてこの研究の中で注目すべき点は、一時的な気分の変動を超えて、「安定した幸福感」を維持している人の多くが、日常生活の中に“意味ある努力”を習慣的に組み込んでいたという観察結果です。

これは、「今日一日がんばってよかった」という感情が、「この人生でよかった」という確信に積み重なっていくことを示しています。逆に、努力や意味のある行動が欠落すると、短期的な快楽に依存しやすくなり、感情的な幸福も不安定になるというリスクもあるのです。

つまり、努力は一時的な「頑張り」で終わるのではなく、人生全体を支える軸=幸福の基盤として作用する。これが、私たちが日々の中で“意味あること”を大切にするべき理由でもあります。

ポイント

  1. 創造的努力は仕事や人生に楽しさと目的意識をもたらす(Sherman & Shavit, 2018)。
  2. 努力そのものが人生の意味を育て、幸福感を高める(Meaningfulness of Effort, 2022)。
  3. 努力の量が成功時の幸福度を引き上げる(Jiga-Boy et al., 2014)。
  4. 他者への貢献という努力も、自分自身の幸福につながる(Wea et al., 2023)。
  5. 内発的な動機に基づく努力は、自己実現と深い充足感を生む(Waterman, 2005)。
  6. 困難や痛みも、幸福の土壌として意味を持つ(De Prycker, 2023)。
  7. 努力の積み重ねが、感情的な幸福と人生満足度の両方を支えている(Berlin & Fors, 2017)。

3. 頑張ることに意味があると感じられる人の共通点

「頑張る意味がわからない」と感じる一方で、日々の努力にやりがいや幸福を見出している人もいます。
彼らは決して、特別に能力が高かったり、意志が強いわけではありません。
むしろ、頑張ることを“上手に意味づけ”しながら、自分らしく続けているという点に共通性があるのです。

この章では、そうした「意味ある努力ができる人」の心理的特徴や行動の傾向に焦点を当てます。

3-1. 自分なりのゴールを持っている

「意味のある努力」とは、自分なりの目的や価値観と結びついたものです。
他人がどう思うか、社会が何を求めるかではなく、「自分にとって意味があるかどうか」が大きな違いを生み出します。

たとえば、「誰かに感謝されたい」「自分の可能性を試してみたい」「もっと自由な働き方をしたい」といった、個人的な思いがあると、それが小さな行動の動力になります。
このように、自分だけのゴールやテーマを持っている人は、迷いながらも前に進む力を育てやすいのです。

心理学者のEdgar Scheinも、人のキャリアは「自分にとって意味あること」によって方向づけられると述べています。
逆に、他人の期待や世間体だけを軸にすると、どんなに努力しても「やらされている感じ」になってしまい、エネルギーが続かなくなります。

3-2. 結果ではなく「過程」に価値を見出している

努力に意味を感じられる人は、結果よりも「その過程」自体に満足できる傾向があります。
「この経験が自分を変える」「プロセスそのものが面白い」といった視点を持つことで、たとえ結果が思い通りでなくても、努力したことに納得感を得られるのです。

これは、前述のWaterman(2005)の研究にも通じます。
努力が必要なアクティビティは、フロー(完全な没頭状態)や個人の成長感、自己表現の充実度が高いことが示されており、それが結果とは独立して「幸福感の源」になりうることを示しています(Waterman, 2005, https://doi.org/10.1007/S11031-005-9440-4)。

「今この瞬間、自分が何かに真剣に取り組めている」という実感は、それ自体が意味となり、後悔のない時間へと変わっていきます。

3-3. 感情と努力のバランスがとれている

頑張ることに意味を感じやすい人は、「感情」と「努力」をうまくバランスさせています。
たとえば、つらいときにはしっかり休む。うまくいかないときは、感情に素直に向き合う。
その上で、「それでも前に進みたい」と思えるときに、無理なく頑張る。

これは決して甘えではありません。むしろ、感情のメンテナンスこそ、努力を長く継続するための土台なのです。

Meaningfulness of Effort(2022)の研究でも、努力から高い意味を感じる人は、感情的幸福(affective well-being)も同時に高いという結果が示されています(Posted Content, 2022, https://doi.org/10.31234/osf.io/sg3aw)。
つまり、ただ頑張るのではなく、「自分の気持ちを大切にしながら頑張る」ことが、幸福につながる努力の秘訣なのです。

頑張る意味がわからなくなったとき、まずは感情のバランスが崩れていないかを確認してみる。
それは、頑張る前に必要な“心の整理”でもあります。

ポイント

  1. 自分なりの目的やテーマを持つ人は、努力に意味を感じやすい。
  2. 過程そのものに価値を見出す視点が、結果に左右されない幸福をつくる。
  3. 感情のケアを優先しながら努力することが、長く続く充実感と満足を生む。

4. 「頑張らない自分」が悪いわけではない理由

「頑張らなきゃ」と思えば思うほど、体も心も重くなる。そんな経験をしたことはありませんか?
現代社会では「努力すること」が美徳とされる一方で、頑張れない自分を責めてしまう人が非常に多いのが現実です。

でも、本当に「頑張らない自分」は悪なのでしょうか?
この章では、頑張れない状態の背景や、それが必要な“心の声”であることを紐解いていきます。

4-1. 無理に頑張ると逆効果になることもある

努力は確かに大切です。しかし、その努力が自分の心身をすり減らしているとき、それはもはや“前向きな行動”ではなく“自己消耗”です。

De Prycker(2023)は、ポジティブな感情ばかりを追い求めたり、努力を「絶対善」とする風潮に対し、「それが逆に幸福を遠ざける可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
苦痛や困難も幸福に欠かせないプロセスであり、「楽しい努力」だけが良いとは限らないという立場です(De Prycker, 2023, https://doi.org/10.21825/philosophica.82185)。

また、精神的な疲労が限界に達しているときは、頑張ろうとするほど逆にモチベーションが下がり、自己評価も低下していきます。
この状態を心理学では「燃え尽き症候群(バーンアウト)」と呼び、特に真面目で責任感が強い人ほど陥りやすいとされています。

つまり、「頑張れない」のではなく、“頑張ってきたからこそ、これ以上は無理”という心のブレーキがかかっているだけなのです。

4-2. 休むことも「意味のある行動」になる

一見、頑張ることを止めると「何もしていない自分」に罪悪感を感じるかもしれません。
しかし、休息もまた、意味のある行動のひとつです。

前述のMeaningfulness of Effort(2022)では、「努力から意味を得ている人」は感情面の幸福度が高く、しかもその幸福感は、“退屈なタスクでさえも意味を見いだす力”に支えられているとされています(Posted Content, 2022, https://doi.org/10.31234/osf.io/sg3aw)。

この視点を広げて考えると、「何もしない時間」も、次に向けての準備期間であり、心身を整えるための大切なプロセスだといえるでしょう。

実際、しっかりとした休息をとった人の方が、その後の意欲や創造性が高まりやすいことが、創造的努力に関する研究でも報告されています(Sherman & Shavit, 2018, https://doi.org/10.1007/S10902-017-9910-X)。
つまり、頑張り続けることだけが努力ではなく、「自分を回復させること」も立派な努力なのです。

4-3. 他人の期待より、自分の心に従う大切さ

「親がこう言ったから」「同僚が頑張ってるから」「SNSではみんな輝いてるから」――このように、他人の期待や成功像に引きずられて自分を動かそうとするほど、心は空回りしてしまいます

Waterman(2005)の研究でも、「やりたくてやっている努力」の方が、幸福感や自己表現、価値実現の感覚を大きく高めることが示されています(Waterman, 2005, https://doi.org/10.1007/S11031-005-9440-4)。

自分の本心から出てきた行動でなければ、どんなに頑張っても、満足感は得にくいのです。
また、Berlin & Fors(2017)の調査では、長期的な幸福感は“現在の感情”と深く結びついていることが分かっています(Berlin & Fors, 2017, https://doi.org/10.2139/ssrn.2931234)。
つまり、“今の自分”の感情を無視して頑張っても、それは結果的に幸福に繋がらないということです。

だからこそ、「頑張らないといけない」という思い込みから一歩引いて、“自分の心が本当に望んでいること”に耳を傾けることが、もっとも価値ある行動になるのです。

ポイント

  1. 無理に頑張ることは、幸福感を損なう「自己消耗」になるリスクがある。
  2. 休息は「回復のための努力」であり、幸福や創造性を高める準備期間でもある。
  3. 他人の期待ではなく、「自分の本心」に従った行動が、もっとも深い意味と満足を生む。

5. 幸せにつながる「頑張り方」を見つけるには

「頑張ることがつらい」「もう頑張りたくない」。そう感じることが悪いわけではありません。むしろ、それは今まで無理をしてきた証であり、「自分に合った頑張り方を見つけたい」という心の叫びでもあります。

努力は本来、苦行ではなく、自分の可能性や充実感を広げるための行為です。問題は、「何を頑張るか」「どう頑張るか」という“方向”にあります。

この章では、自分に合った「幸せになるための頑張り方」を見つけるための視点を紹介します。

5-1. 自分が価値を感じることに力を注ぐ

努力がつらく感じる理由のひとつに、「本心とはズレた目標に向かっている」という状態があります。
他人に認められたい、成功者になりたい、失敗したくない――そうした“外発的動機”は、一時的に原動力になっても、長くは続きません。

一方で、Sherman & Shavit(2018)の研究では、「仕事に創造的工夫を加えること(=内発的に意味を感じる努力)」が、人生全体の満足感を高めることが示されています(Sherman & Shavit, 2018, https://doi.org/10.1007/S10902-017-9910-X)。

つまり、自分の内側から「これをやりたい」「この価値を大切にしたい」と感じられるものに力を注いだとき、努力は苦しみではなく、自己表現や自己成長のプロセスになるのです。

「これは誰かのためでなく、自分が納得できることか?」
この問いを持ち続けることが、正しい方向への第一歩になります。

5-2. 小さな達成感を積み重ねていく

人は、「できた」という実感がないと、やる気を失いやすい傾向があります。どれほど意味のある努力でも、先が見えなければ、途中で投げ出したくなるのは自然な心理です。

このような時には、あえて「目標を小さくする」ことが効果的です。
たとえば、「資格を取る」ではなく「今日は参考書を5ページ読む」、
「健康的な生活を送る」ではなく「今夜は10分早く寝る」など、“すぐできる範囲”に目標を切り分けることで、成功体験を日常に組み込めます。

これは心理学でいう「スモールステップ法」にも通じるアプローチで、達成感の連続が自己効力感(self-efficacy)を高め、「自分は頑張ればできる」と思える土台になります。

さらに、Jiga-Boy et al.(2014)の研究では、「自分の努力量が多い」と感じたときほど、成功したときの幸福感が増すことが確認されています(Jiga-Boy, Toma, & Corneille, 2014, https://doi.org/10.1371/journal.pone.0101512)。
つまり、小さな努力の積み重ねが、“大きな満足”への準備となるのです。

5-3. 他人と比べない努力が心を守る

頑張っているはずなのに、なぜか苦しくなる。
その背景には、「他人と比較してしまう癖」があることが多いです。

SNSや職場、学校などで目にする「他人の頑張り」は、表面的な“結果”だけが切り取られたものです。そこには、本人の葛藤や失敗、見えない苦労は含まれていません。

にもかかわらず、私たちはそれらを“基準”にして、自分の現在地を測ろうとします。結果、「自分は足りない」「意味がない」と感じてしまうのです。

ここで大切なのは、「努力には人それぞれのペースと形がある」という事実です。
Waterman(2005)の研究では、自分自身の意志で努力している人ほど、自己実現や深い満足感に到達しやすいことが示されています(Waterman, 2005, https://doi.org/10.1007/S11031-005-9440-4)。

つまり、他人と比べず、「自分が心地よいペースで、自分のために進むこと」が、もっとも幸福につながる努力の在り方なのです。

「昨日の自分と比べて、少しでも進めたか」
そうした“自分基準”で進むことが、心の安定と、やりがいを育ててくれます。

ポイント

  1. 自分にとって価値あるものに集中することで、努力が自己表現になる
  2. 小さな成功を積み重ねることで、頑張る力が自然と湧いてくる
  3. 他人との比較ではなく、“自分なりの基準”で努力を評価することが大切

6. 幸せに近づくための努力のヒント【研究ベースの実践知】

これまで紹介してきた通り、努力は必ずしも「苦しいもの」や「無理してやるもの」ではありません。
むしろ、自分の意思で選び取った意味ある努力こそが、幸福や充実感を育てることが、数々の研究によって実証されています。

ここでは、そうした知見を日常生活に活かすための、実践的で具体的なアプローチをご紹介します。

6-1. 楽しさを自らつくる「創造的努力」を取り入れる

努力という言葉に対して、「苦しい」「忍耐」「耐える」といったネガティブなイメージを持つ人は少なくありません。
しかし、自分の創造性を活かした努力は、楽しさや幸福感を同時に生み出すという研究結果があります。

Sherman & Shavit(2018)は、職場での「創造的努力」がポジティブ感情・人生の目的意識・主観的幸福の全体評価に大きく影響することを実証しました(Sherman & Shavit, 2018, https://doi.org/10.1007/S10902-017-9910-X)。

たとえば、

  • 単調な作業に自分なりの工夫を加えてみる
  • チームの雰囲気を良くするために提案をする
  • 作業に色やデザインなど“好き”を取り入れる

といった工夫は、ほんの小さなことでも、“やらされる”仕事を“自分で意味を生み出す”仕事に変える力を持っています。

創造性とはアートや音楽だけの話ではなく、日常の中で「どう楽しめるか」を探すことそのもの
それが、努力を続けるための最大のモチベーションになります。

6-2. 見返りを期待しない親切や貢献を日常に組み込む

「努力=自分のため」という意識が強くなると、どうしても成果や報酬にとらわれやすくなります。
しかし、実は「他人のための努力」は、自分自身の幸福を高める力が非常に強いことが分かっています。

Wea et al.(2023)は、利他行動(思いやりや社会的貢献)と幸福感の相関関係を調べた研究で、他人のために行動する人ほど、自身の人生満足度や学業・対人関係における成果も高いという結果を示しました(Wea & Hamu, 2023, https://ejournal.undiksha.ac.id/index.php/JJPGSD/article/download/63589/28046)。

これは、次のような日常行動にも応用できます。

  • 電車で席を譲る
  • 同僚や友人に「ありがとう」を伝える
  • 家族のために一手間加えた食事を用意する
  • ボランティアに参加する

こうした行動は一見、小さくてささやかです。しかし、「誰かの役に立った」という実感が、自己肯定感を高め、自己効力感を強化することが明らかになっています。

「報われる努力」ではなく、「誰かに届く努力」が、心の奥から温かさを呼び起こしてくれます。

6-3. 感情日記で「意味がある努力」を見える化する

努力の意味を見失いやすい人にとって有効なのが、「感情と行動を記録する」ことです。
たとえば日記やアプリを使って、次のような項目を日々書き出す方法があります。

  • 今日やったこと
  • それをやった気持ち(楽しさ、つらさ、達成感など)
  • 終わった後の感情
  • 明日の自分に伝えたい一言

このような記録を継続すると、自分が「どういう努力に喜びを感じるか」「どんなときに空虚感を感じるか」がパターンとして浮かび上がってくるようになります。

実際、Berlin & Fors(2017)の研究では、「安定した幸福感を持つ人」は、日々の感情に注意を向け、内面との対話が習慣になっている傾向があることが報告されています(Berlin & Fors, 2017, https://doi.org/10.2139/ssrn.2931234)。

また、努力を「数値」や「成果」でしか見ていないと、その実感が薄れてしまい、虚無感につながります。
一方で、「今日は少し笑えた」「不安な気持ちだったけど乗り越えた」といった内面的な成長や感情の変化に目を向けることで、努力の“意味”は自然に見えてくるのです。

努力を“評価する”のではなく、“観察する”こと。
これが、自分に優しい努力の仕方です。

ポイント

  1. 創造的な工夫を加えることで、努力は楽しさと幸福の源になる
  2. 他人への思いやりという努力は、自分の心の豊かさも育てる
  3. 努力を感情とともに記録することで、自分に合った頑張り方が見えてくる

7. 「努力=自己実現」と考えられるようになる心の整理法

「努力しなきゃ」と思いながらも、報われない現実に心が折れそうになることは誰にでもあります。
しかし、努力が「成果」や「評価」を得るためだけの手段ではなく、“自分らしく生きる”ためのプロセスそのものだとしたら、どうでしょうか?

この章では、努力を“自己犠牲”ではなく“自己実現”に変えるための、考え方の転換と心の整え方を紹介します。

7-1. エウダイモニア(内的幸福)の視点を持つ

幸福には2つの種類があると言われています。
ひとつは「ヘドニア的幸福(快楽・快適さ)」、もうひとつは「エウダイモニア的幸福(自己実現・人生の意義)」です。

エウダイモニア(Eudaimonia)は、古代ギリシアの哲学者アリストテレスが提唱した概念で、人間としての本質を実現して生きることこそ、真の幸福であるという考え方です。
つまり、たとえつらいことがあっても、それが「自分らしい」「意味がある」と感じられれば、それは深い幸福感につながるということです。

Waterman(2005)の研究では、内発的に選んだ努力、つまり「自分にとって意味あること」を追求する人ほど、自己表現・成長・フロー体験・価値の実現といったエウダイモニア的幸福を強く感じていることが示されています(Waterman, 2005, https://doi.org/10.1007/S11031-005-9440-4)。

この視点を持つことで、「つらいけど、これは自分にとって意味がある努力」と捉え直すことができ、苦しみさえも幸福の一部になり得るのです。

7-2. 苦しみも成長に変える「意味づけ力」

「こんなにつらいのに、何のためにやっているのか分からない」――そう感じたとき、役に立つのが「意味づけ」の力です。
意味づけとは、起こった出来事や自分の行動に対して、「どんな意味があるのか?」を自分なりに定義する作業です。

De Prycker(2023)は、「苦しみや困難を否定するのではなく、それらを“人生に必要なプロセス”と再解釈することが、持続可能な幸福感に繋がる」と述べています(De Prycker, 2023, https://doi.org/10.21825/philosophica.82185)。

たとえば、

  • 失敗した=「自分が成長する機会だった」
  • 疲れている=「ここまで頑張ってきた証」
  • 前に進めない=「今は立ち止まるタイミング」

といったように、自分の現実をそのまま肯定的に意味づけることで、努力に対する見方が180度変わることもあります。

この“意味の書き換え”ができるようになると、どんな状況でも「自分の軸」を失わずに前に進めるようになります。
努力を苦しみではなく、“自己を磨く行為”として捉え直す力が、自己実現への確かな一歩になります。

7-3. 今の努力が未来の自分を育てている実感を得る

努力の意味を失いやすいとき、それは未来の自分とのつながりが薄れているときかもしれません。
目の前のことに追われていると、「何のためにこれをやっているんだろう」と感じるのは当然です。

そこで有効なのが、「将来の自分」へ意識を向けること。
具体的には、

  • 5年後、今の努力が何につながっているだろう?
  • あのとき頑張ってよかったと思える瞬間はどんなとき?
  • 今の自分は過去の自分が頑張ってくれた結果じゃないか?

といった視点を持つことで、「今の自分の努力」が「未来の自分」を形作っているという実感が湧いてきます。

Berlin & Fors(2017)の調査では、人生満足度と感情的幸福は強く相関しており、現在の感情的充実が未来の幸福感にも連動することが示されています(Berlin & Fors, 2017, https://doi.org/10.2139/ssrn.2931234)。

つまり、今取り組んでいる努力を「点」ではなく「線」で捉えること――
それが、将来の自己実現を信じて前を向くための力になります。

ポイント

  1. エウダイモニア的幸福=“意味ある努力”が深い幸福感をもたらす
  2. 「苦しみをどう意味づけるか」が、努力を自己実現へと変える鍵
  3. 今の努力を未来の自分との“つながり”として意識することで、モチベーションが回復する

8. Q&A:よくある質問

「頑張る意味がわからない」と感じたとき、多くの人が共通して抱える疑問や不安があります。ここでは、その中でも特に多く寄せられる質問に対して、専門知見と実証研究に基づいてお答えします。

8-1. 頑張る意味がわからないのは心の病気ですか?

いいえ、必ずしもそうとは限りません。
「頑張る意味がわからない」と感じるのは、ごく自然な心理的反応です。特に、結果が見えなかったり、報われない経験が重なったり、自分の価値観とズレた行動を続けていると、そうした感覚に陥りやすくなります。

ただし、日常生活に支障が出るほど気力が湧かない、眠れない、食欲がないといった症状が続く場合は、うつ状態や適応障害の可能性もあります。無理をせず、信頼できる専門機関への相談を検討してください。

8-2. 何をやっても虚しくなるとき、どうすれば?

虚しさは「意味が見えないとき」に生じやすい感情です。
まずは、自分が日々行っていることの中に「意味」を見出す小さな習慣を取り入れてみましょう。

たとえば、感情日記をつけるのは非常に有効です。Berlin & Fors(2017)は、人生満足度と感情的幸福が強く結びついていることを示し、日常の感情を可視化することで、意味や手応えを取り戻せることを示唆しています(Berlin & Fors, 2017, https://doi.org/10.2139/ssrn.2931234)。

また、他人への貢献や利他的な行動も、自己の価値を再認識させてくれます(Wea & Hamu, 2023, https://ejournal.undiksha.ac.id/index.php/JJPGSD/article/download/63589/28046)。

8-3. モチベーションがゼロでも、やるべきことはありますか?

はい。モチベーションがないときでも、“やらなければならないこと”があるのが現実です。
そのようなときには、「行動が感情を引き出す」ことを意識してください。

たとえば、5分だけ机に向かう、1行だけメモを取る、靴を履いて外に出るなどの“超小さな行動”が、脳の報酬系を刺激し、徐々にやる気を呼び戻す効果があります。

また、Jiga-Boy et al.(2014)の研究では、「努力したと感じた人ほど、成功後の幸福度が高い」ことが実証されており(Jiga-Boy, Toma, & Corneille, 2014, https://doi.org/10.1371/journal.pone.0101512)、小さな行動の積み重ねが、感情の流れを変えていくのです。

8-4. 周りが頑張っているのを見ると焦るのですが

焦りの正体は、「他人の基準で自分を評価してしまっている」ことにあります。
SNSや職場などで、他人の成果ばかりが見える環境では、自分だけが遅れているような気がしてしまうのも無理はありません。

Waterman(2005)の研究では、“他者の評価ではなく、自分の内的価値に基づく努力”が、より深い満足感と幸福感をもたらすことが示されています(Waterman, 2005, https://doi.org/10.1007/S11031-005-9440-4)。

他人は他人。あなたはあなた。
比較する相手は「昨日の自分」。それが心を守りながら成長するコツです。

8-5. 頑張らなくてもいい生き方ってありますか?

あります。というより、「頑張らない=悪」では決してありません。

De Prycker(2023)の論文は、「努力や困難だけが人生を豊かにするのではないが、必要なときに意味ある努力をすることは幸福に不可欠である」としています(De Prycker, 2023, https://doi.org/10.21825/philosophica.82185)。

頑張らない生き方とは、「無理をしない」「自分のペースを守る」「自然体で暮らす」こと。
これは、立派な“戦略”であり、幸福に近づく立ち位置でもあります。

努力は、必要なときに、必要なだけすればいい。
それが「自分の人生を、自分で選んで生きる」ということなのです。

9. まとめ:頑張ることの意味は、自分でつくっていける

「頑張る意味がわからない」と感じるとき、私たちは本質的に「意味のない行動に自分の時間やエネルギーを費やしたくない」と思っているのかもしれません。
それはとても自然で、誠実な心の反応です。

しかし、これまで紹介してきた実証研究が明らかにしているように、努力には確かに幸福や充実感を生み出す力があります。それは単に結果を出すことだけではなく、

  • 自分らしさを発揮すること
  • 他人に親切にすること
  • 感情を見つめて調整すること
  • 苦しみや逆境を意味ある経験に変えること

…といった、「内面からの意味づけ」とセットになった努力によってもたらされるものです。

努力とは、自分を追い込むものではなく、自分の人生を育てるための水や光のような存在
もし今、頑張る意味が見えないなら、それは「意味を与える力」を取り戻すチャンスなのかもしれません。

意味は、他人がくれるものではなく、自分の価値観や経験を通して見出していくもの
だからこそ、「今、自分は何のために頑張っているのか」を問い続けながら、納得のいく生き方を選んでいきましょう。
その過程こそが、幸せにつながる努力の最も大切な本質なのです。

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