給食調理員として毎日怒られる状況を「自分がダメだから」で終わらせず、仕事の覚え方・聞き方・メモの工夫でできる対策と、無理をしすぎないための考え方を具体的にまとめます。
給食調理の現場は、時間との戦いで常にバタバタしていて、ちょっとしたミスや段取りのズレできつく注意されてしまうことも少なくありません。毎日のように怒られていると、「自分だけ要領が悪いのかな」「向いていないのかも」と感じてしまい、職場に行くのがつらくなる人も多いでしょう。
ただ、毎日怒られる状況には「あなたの頑張り方」と「職場の教え方」の両方の要素が混ざっています。この記事では、自分の努力で変えられる部分として「仕事の覚え方」「聞き方」「メモの取り方」をできるだけ具体的に解説しつつ、「どうしても合わない職場」のサインについても触れていきます。
「完璧にできるようにならなきゃ」と気負う必要はありません。まずは、明日から少しだけやり方を変えてみるイメージで読んでみてください。あなたが自分を責めすぎずに、今より少しでも働きやすくなるヒントを持ち帰れるように、一つひとつ丁寧にお伝えしていきます。
この記事はこのような人におすすめ!
- 給食調理員として働き始めてから、ほぼ毎日怒られて落ち込んでいる新人さん
- 「説明を聞いているつもりなのに仕事を覚えられず、同じことで何度も注意されてしまうと感じている人
- メモも取っているのにうまく生かせず、「自分は向いていないのでは?」と不安になっている人
目次 CONTENTS
1. 給食調理員として毎日怒られる…まず知っておきたい前提
給食調理員として毎日怒られるとき、「自分が悪い」「向いていない」と決めつけてしまいがちですが、仕事の性質や人手不足など職場側の事情も大きく、あなただけの問題ではないという前提を整理します。
給食調理の現場は、時間との戦いとチームプレーが前提の仕事です。大量の食材を限られた時間で安全に調理しなければならないため、スタッフ全員が常に急ぎ足になりがちです。その焦りやプレッシャーが、きつい言い方・強い口調となって新人さんに向かうこともよくあります。
その結果、給食調理員として毎日怒られる状況が続くと、「自分だけできていない」「みんなの足を引っ張っている」と感じてしまいます。しかし、実際には仕事の教え方・人員配置・現場の雰囲気など、あなたには変えにくい要素もたくさん混ざっています。全部を自分1人の責任だと背負い込む必要はありません。
まずは、「自分の改善できるところ」と「職場の環境の問題」を切り分けて考えることが大切です。そのうえで、この記事では仕事の覚え方・聞き方・メモ術と、合わない職場との付き合い方という二つの視点から、少しでも心が軽くなる考え方を一緒に整理していきます。
1-1. 給食調理員が毎日怒られやすい職場の特徴
「なんでこんなに怒られるんだろう……」と思ったときに、まず知っておいてほしいのが、怒られやすい職場にはいくつかの共通点があるということです。あなたの能力に関係なく、最初からミスやトラブルが起きやすい現場というものが存在します。
たとえば、常に人手不足で一人あたりの仕事量が多すぎる職場では、ベテランの人も余裕がなく、説明を丁寧にする時間が取れません。その結果、「そんなの前にも言ったでしょ」「なんで分からないの?」と、イライラした口調で指示が飛びやすい環境になってしまいます。
また、マニュアルが整っておらず、「人によって言うことが違う」「日によってやり方が変わる」職場も、怒られやすさが増します。教える人ごとにルールが違うと、新人はどうしても混乱しますが、現場の側は「前に教えたのに」と感じてしまい、理不尽に責められているように感じる場面が増えていきます。
さらに、長く勤めている一部の人が強い権限を持ち、上下関係がはっきりしすぎている職場も要注意です。雰囲気として、「新人は怒られて覚えるもの」「言い返さずに耐えるのが当たり前」となっていると、ミスのたびにきつく当たられる空気ができあがってしまいます。このような特徴に心当たりがあるなら、「自分がダメだから怒られる」だけではなく、職場側の土台にも問題があるかもしれないと考えてみてください。
1-2. 「怒っている人の事情」と「あなたの事情」を切り分ける
毎日怒られていると、「自分は本当にダメなんだ」と感じやすくなりますが、最初にやってほしいのは、怒っている人の事情と、自分の事情をいったん分けて考えることです。この切り分けができると、必要以上に自分を責めずに済みます。
たとえば、怒っている人の側には、時間がなくて焦っている・自分も上からプレッシャーを受けている・忙しさで余裕がないといった事情があります。もちろん、だからといってきつい言い方をしていいわけではありませんが、「あの人の言葉のきつさ=自分の価値」ではない、と知っておくだけでも心の負担は少し軽くなります。
一方で、あなたの事情としては、まだ慣れていない・仕事の全体像がつかめていない・聞き方やメモの取り方に手探り感があるといった点があるかもしれません。ここは、この記事の後半でお伝えするような仕事の覚え方・聞き方・メモ術によって、少しずつ改善していける部分です。「自分にできる工夫がある」と分かるだけでも、状況の受け止め方が変わってきます。
大事なのは、「全部自分のせい」とも「全部職場が悪い」とも決めつけないことです。もし毎日怒られている状況なら、「職場の土台に原因がありそうなところはどこか」「自分のやり方を変えられそうなところはどこか」を、これから一緒に確認していきましょう。次の章からは、セルフチェックを使って現状を整理するところから始めていきます。
ポイント
- 怒られやすさには、仕事の忙しさや人員不足など職場側の事情も大きく影響している
- 「怒っている人の事情」と「自分の事情」を分けることで、必要以上に自分を責める負のループから抜けやすくなる
- これから紹介する仕事の覚え方・聞き方・メモ術の工夫は、「自分にできる範囲で状況を少し良くするための道具」として使ってみてよい
2. 毎日怒られる状況を整理するセルフチェック
給食調理員として毎日怒られるとき、原因を「自分の覚え方」と「職場の環境」に分けてセルフチェックすることで、頑張りどころと無理をしてはいけないラインを見極めやすくします。
給食調理員として働いていると、「毎日怒られるのは自分が仕事を覚えられないせいだ」と思い込んでしまいがちです。でも実際には、仕事の覚え方や聞き方で工夫できる部分と、どう頑張っても変えにくい職場特有のルールや雰囲気が混ざっています。ここを一度整理しておくと、この先どう動けばいいかが少し見えやすくなります。
この章では、まず「仕事の覚え方に原因がありそうなサイン」と「職場側の問題が大きそうなサイン」を分けて見ていきます。そのうえで、心と体が限界に近づいていないかも簡単にチェックしていきましょう。完璧な診断をするわけではなく、あくまで自分の今の状態を言葉にしてみるための整理だと思って、気軽に読み進めてみてください。
2-1. 仕事の覚え方に原因がありそうなサイン
まずは、「これは自分の覚え方や動き方を見直す余地があるかも」というサインから整理してみます。ここを押さえておくと、後で紹介する仕事の覚え方・聞き方・メモ術も、自分ごととして取り入れやすくなります。
たとえば、同じ内容を何度も説明されているのに、自分のメモを見返す習慣があまりないという場合は、「覚えが悪い」のではなく「復習のタイミング」がもったいないだけかもしれません。また、「分からないまま何となく周りの動きを真似してしまう」癖があると、たまたまうまくいく日もあれば、想定していなかったところでミスが出て怒られやすくなることもあります。
ほかにも、怒られた内容を振り返ると、
- 作業の順番を間違えている
- 段取りを確認しないまま動き始めてしまう
- 確認の声かけが足りなくて行き違いが起きている
といったパターンが多いなら、「覚えが悪い」と自分を責める前に、作業を小さく分けて覚える工夫や、メモの書き方・見返し方を変えてみるのが有効です。
ここで大切なのは、「自分が悪い」と反省するだけで終わらせず、次に同じ場面が来たときに何を変えてみるかまでセットで考えることです。次の章以降で具体的なやり方をお伝えしますので、「あ、これ当てはまるかも」と思ったところに印をつけるイメージで、まずは自分の傾向をつかんでみてください。
2-2. 教え方・人間関係など職場側に問題がありそうなサイン
一方で、「これは正直、職場側のやり方や雰囲気の影響が大きいな」と感じるサインもあります。ここを見落としてしまうと、本当は環境の問題なのに全部自分のせいだと思い込んでしまうことがあります。
たとえば、
- 毎日のように人前で長い時間怒鳴られる
- ミスとは関係ないところまで、人格を否定するような言い方をされる
- 仕事のやり方が人によってバラバラで、誰の指示に従っても誰かに怒られる
- 質問すると「自分で考えて」とだけ言われ、教えてもらえる場がほとんどない
こういった状況が当たり前になっている場合、どれだけ努力しても、「怒られない」状態にたどり着くのは難しいかもしれません。これは、あなたの覚え方や頑張りとは別に、職場の文化や体制がそうなってしまっている可能性が高い部分です。
ここで一度、次のチェックリストを使って、自分側と職場側のどちらの要素が強いのかをざっくり見てみましょう。
毎日怒られるときに「自分側」と「職場側」を切り分けるチェックリスト
以下の項目で、当てはまるものに心の中でチェックを入れてみてください。
<自分側に多そうなサイン>
- メモは取っているけれど、仕事の前に見返すことがほとんどない
- 作業の手順を自分なりに整理できておらず、いつも行き当たりばったりで動いてしまう
- 分からないことがあっても、「また怒られるかも」と思って質問を飲み込んでしまう
- 怒られた内容を家に帰ってから振り返ることが少なく、毎日が「なんとなく」で終わってしまう
<職場側に多そうなサイン>
- 自分だけでなく、他の人もよく怒鳴られていて、空気がいつもピリピリしている
- 指示する人によって言うことが違い、昨日のやり方を守ると今日は別の人に怒られる
- ミスの内容よりも、性格や年齢など個人を攻撃するような言葉が多い
- 忙しさを理由に、新人にほとんど説明をせず「見て覚えて」と言われることが多い
自分側の項目にチェックが多い人は、これから紹介する仕事の覚え方・質問の仕方・メモの工夫で、状況が少しずつ変わる可能性があります。一方、職場側にチェックが多い人は、あなたがどれだけ頑張っても、怒られ方そのものはあまり変わらない可能性もあります。
どちらも同じくらい当てはまる人もいると思いますが、それはそれで大丈夫です。大切なのは、「自分にできる工夫はしつつ、どう頑張っても変わらない部分は職場の問題だと認識しておく」というバランス感覚です。このあとで、心の守り方や環境を見直すヒントもお伝えしていきます。
2-3. 心と体の限界サインを見逃さないために
ここまで読んで、「確かに自分にも改善できるところはありそうだな」と感じた方もいるかもしれません。それと同じくらい大事なのが、心と体の限界サインを見逃さないことです。どんなに仕事の覚え方を工夫しても、心身がすり減りすぎていたら、うまく動くのは難しくなります。
たとえば、
- 出勤前になるとお腹が痛くなったり、吐き気がしてしまう
- 仕事のことを考えるとドキドキして、夜なかなか寝付けない日が続いている
- 帰宅すると力が抜けて、何もする気が起きず涙が出てくることが増えた
こういった状態が続いているときは、「自分が弱いからだ」と片づけずに、「かなり頑張りすぎているサインかもしれない」と受け止めてほしいところです。心も体も、ずっと緊張しっぱなしでは持ちません。
また、「忙しいから」「人手が足りないから」と、体調不良を我慢して出勤し続けることも危険です。結果的にミスが増えてさらに怒られる…という悪循環になりやすく、あなた自身がますます追い詰められてしまいます。必要なら、信頼できる家族や友人に状況を話したり、医療機関や相談窓口を検討することも立派な自己防衛です。
この章のセルフチェックで、「自分側の工夫」と「職場側の問題」「心と体のサイン」のどこが強そうか、なんとなく見えてきたでしょうか。次の章からは、自分側でできる工夫としての「仕事の覚え方」を具体的に見ていきますので、「できそうなところから1つだけ試してみる」くらいの気持ちで読み進めてみてください。
ポイント
- 自分の覚え方の工夫で変えられる部分と、職場の文化や教え方に由来する部分を切り分けて考えることが大切
- セルフチェックで「職場側のサイン」が多い場合、どれだけ頑張っても怒られ方が変わりにくい現実がある
- 出勤前の体調不良や涙が止まらないなどの症状は、頑張りすぎのサインとして早めに気づき、誰かに相談したり環境を見直すきっかけにしてよい
3. 仕事の覚え方:ミスを減らすための基本ステップ
給食調理員として毎日怒られる状況を少しでも減らすには、才能よりも「仕事の覚え方」が重要です。一日の流れをつかみ、作業を細かく分け、短い振り返りを続けることで、慌てず動ける土台を作っていきます。
給食調理員の仕事は、一つひとつの作業は単純でも全体としてはとても複雑です。下処理、加熱、盛り付け、洗浄、片付け…と次々にやることが押し寄せてくるため、「何から手をつければいいのか分からないままバタバタしてしまう」という人も多いでしょう。覚えるべきことが多いぶん、根性だけで乗り切ろうとするとすぐに限界が来てしまいます。
そこで大事になるのが、仕事を丸ごと覚えようとせず、段階に分けて少しずつ身につけることです。「一日の流れ」「自分の担当」「その中の小さな手順」と、レベルを分けて整理していくと、頭の中がだいぶスッキリしてきます。結果としてミスが減り、同じことで繰り返し怒られる場面も少しずつ減っていきます。
この章では、まず「一日の流れ」をざっくりつかむところから始め、次に「作業を細かく分けるコツ」、最後に「忙しい中でもできる振り返り」までを順に見ていきます。全部いきなり完璧にやる必要はありません。できそうなところを一つ選んで試すだけでも、明日の動き方が少し変わってくるはずです。
3-1. まずは「一日の流れ」をざっくりつかむ
仕事を覚えるときにいきなり細かい手順から入ると、自分が今どこを走っているのか分からなくなりやすいものです。そこで最初にやってほしいのが、「給食の一日ってどんな順番で進んでいるのか」を大ざっぱでいいのでつかむことです。地図がないまま走るより、全体の道筋をイメージしてから動いた方が、迷子になりにくくなります。
たとえば、自分の勤務先では
- 出勤〜下準備(野菜のカット・下処理など)
- 加熱・味つけの作業
- 盛り付け・配缶の準備
- 下膳・食器洗浄
- 片付け・翌日の準備
といった大きな流れになっていないか、頭の中で並べてみてください。この時点では細かい順番までは覚えなくてかまいません。「朝はここをやって、昼前はこれ、午後は洗い物」というように、時間帯ごとの大まかな役割が見えればOKです。
可能であれば、休憩時間や帰宅後に、ノートの端やメモ帳に簡単なタイムラインを書いてみるのもおすすめです。「9:00〜10:00 下処理」「10:00〜11:00 調理」「11:00〜12:00 盛り付け…」というように、自分なりの言葉で書き出してみると、頭だけで覚えておくよりも整理しやすくなります。ここでの目的は、自分の一日を俯瞰できるようにすることです。
一日の流れがざっくりつかめてくると、「いまは全体のどの時間帯にいるのか」「このあと何が控えているのか」が少しずつ分かるようになります。そうすると、同じ作業でも焦り方が変わり、怒られたときの受け止め方も少し落ち着いていくことが多いです。次の項目では、この大きな流れをさらに細かく分けて覚えていくコツを見ていきましょう。
3-2. 作業を細かく分けて覚えるコツ
次のステップは、自分の担当している仕事を、もっと小さな手順に分けて覚えることです。「サラダを作る」「汁物を作る」といった大づかみの単位だと、どこでつまずいているのかが自分でも分かりにくく、毎回同じところで慌ててしまいがちです。細かく分けることで、どこを直せばいいのかが見えやすくなります。
たとえば「サラダを作る」という作業でも、実際には
- 食材を確認する(種類・量)
- 必要な器具を揃える(ボウル・ざるなど)
- 野菜を洗う・切る
- 調味料を量る・混ぜる
- 和える・味を確認する
というように、いくつかの手順に分けることができます。自分が怒られやすいのが「準備が遅い」のか、「調味料の量をよく間違える」のか、「味見を忘れる」のかを意識してみると、どの手順を重点的に見直すべきかが分かってきます。
ここで役立つのが、短いメモに「手順+注意点」を書き出しておくことです。たとえば、「汁物」のページを作っておき、
- 手順1:材料の確認(●●が足りない時は△△さんに報告)
- 手順2:だしを取る(火加減は弱め〜中くらい)
- 手順3:具材を入れる順番(根菜→葉物の順)
というように、自分なりのミニマニュアルにしてしまうイメージです。手順を細かく分けるほど、どこを直せば怒られにくくなるかがハッキリしてくるはずです。
給食の仕事を効率よく覚える5ステップ
ここまでの話を踏まえて、給食調理員の仕事を覚えるときに役立つ流れを5つのステップにまとめてみます。一度に全部やろうとしなくて大丈夫なので、「これならできそう」と思うところから取り入れてみてください。
- 一日の大まかな流れを書き出す
- 自分の担当作業を小さな手順に分けてみる
- 手順ごとに「注意点」を1つずつ書き足す
- 仕事前にそのメモを1〜3分だけ見返す時間を取る
- 一日の終わりに「できたこと・つまずいたこと」を一行メモする
1と2で全体と手元の作業を整理し、3で怒られやすいポイントを事前に意識できるようにします。4では作業を始める前に頭の中を整え、5で一日の経験を少しずつ蓄積していくイメージです。完璧でなくて構いません。何度か繰り返すうちに、自然と動き方の型が身についていきます。
この5ステップは、どの現場にもそのまま当てはまる「正解」ではありませんが、自分なりの覚え方を作るための土台にはなります。「全部は無理」と感じたら、まずは1と4だけでもいいので、気楽に試してみてください。
3-3. 忙しい中でもできる振り返り・復習の習慣
仕事を覚えるうえで意外と大事なのが、その日の出来事を少しだけ振り返る習慣です。怒られた直後は気持ちが沈んでしまいがちですが、そこで何も見直さないままだと、翌日も同じところでつまずきやすくなります。長い反省文を書く必要はないので、「一行だけ振り返る」くらいの軽い気持ちでOKです。
おすすめは、ノートやメモアプリの一番後ろのページに、
- 今日うまくいったことを一つ
- 今日つまずいたことを一つ
を書いていく方法です。たとえば、「盛り付けのスピードが昨日より早くなった」「鍋の火加減を確認し忘れて怒られた」など、具体的な場面を短くメモします。それだけでも、「少しは成長しているところもある」と実感しやすくなり、自己否定ばかりになりにくくなります。
もし余裕があれば、つまずいたところについて「次に同じ場面が来たらどう動くか」も一行だけ書き足してみてください。「鍋の火加減は、隣の作業に移る前に必ず一度確認する」「盛り付け前に器の並べ方を先輩に確認する」など、小さな約束で構いません。これがあるだけで、翌日同じ場面に立ったときに、少し冷静に動ける自分に気づけるはずです。
忙しい日が続くと、「振り返る時間なんてない」と思うかもしれませんが、一行なら1分もかかりません。完璧に毎日続ける必要もなく、「思い出した日に書く」くらいでも十分意味があります。仕事の覚え方は、特別な才能ではなく、こうした小さな工夫の積み重ねで変わっていくものだと考えてみてください。
ポイント
- 覚えるときは、まず一日の大まかな流れをつかみ、自分の位置を把握するところから始める
- 作業は「サラダを作る」など大きな単位ではなく、小さな手順+注意点に分けることで直すポイントが見えやすくなる
- 忙しい中でも、一行の振り返りや5ステップを取り入れることで、毎日怒られる状況を少しずつ改善する土台を作っていける
4. 聞き方:怒られにくくなる質問のタイミングと伝え方
給食調理員として毎日怒られるときは、内容だけでなく「いつ・どう聞くか」も大きく影響します。質問のタイミングを見極め、クッション言葉や報告の仕方を工夫することで、同じ内容でも受け取られ方をやわらげていきます。
給食調理の現場では、みんなが忙しく動いているので、少しの質問が相手の負担になりやすい環境になりがちです。そのせいで、勇気を出して聞いてみたのに、「今それどころじゃないでしょ」ときつく返されて落ち込んでしまうこともあるでしょう。何度もそういうことが続くと、「もう聞かないほうがマシかも」と感じてしまう人も多いはずです。
とはいえ、分からないまま作業を進めてしまうと、あとで大きなミスになって余計に怒られてしまうリスクもあります。大事なのは、「聞くな」ではなく、「聞き方を少し工夫する」という発想です。質問するタイミングを選び、言い方を整えるだけでも、相手の受け止め方が変わることはよくあります。
この章では、まず「今聞いていいかの判断ポイント」を整理し、次に現場でそのまま使えるフレーズ集を紹介します。最後に、ミスしてしまったときの報告の仕方も一緒に考えていきます。「聞いたら怒られるかも…」と怖くなっている人ほど、自分を守るためのスキルとしての“聞き方”を身につけていきましょう。
4-1. 「いま聞いてもいいですか?」を判断するポイント
質問するときにまず意識したいのが、相手の手がふさがっていないタイミングを選ぶことです。たとえば、包丁を使っていたり、大きな鍋を持ち上げていたりするときに声をかけると、相手も余裕がなく、どうしてもきつい返事になりやすくなります。「このタイミングで声をかけられると自分もイラッとしそうだな」と想像してみると、少し判断しやすくなります。
具体的には、
- 大きな鍋を火にかけている最中
- 盛り付けで時間との戦いになっている瞬間
- 電話対応や他の人への指示を同時にしているとき
などは、できるだけ質問を待ったほうがいいタイミングです。一方で、作業と作業の間の一呼吸や、片付けに移る前後の小さなスキマ時間は、比較的話しかけやすい場面であることが多いです。
また、どうしても今決めないと進められない内容なのか、自分で考えたりメモを見返したりしても解決しないかを一度立ち止まって確認してみるのもポイントです。「これは完全に初めての作業で、判断を間違えると危ない」「昨日とやり方が変わっているかもしれない」といった場合は、多少忙しそうでも勇気を出して確認したほうが結果的に安全です。
「今聞いて大丈夫かな…」と思ったときは、心の中で
- 相手の手がふさがっていないか
- 今すぐ決めないと危ない内容か
- 自分のメモや前日のやり方を確認したか
の3つをサッとチェックしてみてください。それだけで、「とりあえず聞いて怒られる」頻度を少し減らせるはずです。
4-2. 現場で使える質問フレーズとクッション言葉
聞き方の印象を大きく変えてくれるのが、最初につけるひと言=クッション言葉です。いきなり「これどうするんですか?」と聞くより、「今少しだけお時間よろしいですか?」を一言添えるだけで、相手の構え方が変わります。内容は同じでも、伝え方をやわらげることで、怒られにくい空気を作ることができます。
たとえば、忙しそうな人に聞くときは、
- 「お忙しいところすみません、この作業の順番をもう一度確認してもいいですか?」
- 「手が空いたときで大丈夫なので、△△の量を教えていただけますか?」
といったひと言があるだけで、印象がぐっと変わります。このようなクッション言葉をいくつか手持ちにしておくと、緊張するときほど自分を助けてくれるはずです。
また、「何を聞きたいのかを最初に短くまとめて伝える」のも効果的です。たとえば、
- 「今日のスープの具材の切り方についてですが、この大きさで合っていますか?」
- 「配膳の並べ方についてです。昨日と同じ向きで並べたら大丈夫でしょうか?」
というように、最初にテーマを一言で伝えると、相手も「何の話か分からないイライラ」が減ります。「えっと、その…」と前置きが長くなるより、用件から先に出したほうがスムーズになりやすいです。
こうした言い方は、慣れないうちはカンペがないと出てこないこともあります。そこで、次のパートでは、そのままマネして使えるフレーズ集を用意してみました。最初は丸写しでOKなので、自分の言いやすいものから1〜2個選んで、メモ帳に書いてポケットに入れておくのもおすすめです。
現場でそのまま使える聞き方フレーズ集
<段取りを確認したいとき>
- 「お忙しいところすみません、今日の私の担当の流れをもう一度確認させてください。」
- 「このあと、先にサラダの盛り付けで、その次にスープで合っていますか?」
- 「今、野菜の下処理が終わったのですが、次は何から手をつけるのがよさそうでしょうか。」
<忙しそうな人に声をかけるとき>
- 「手が空いたタイミングで大丈夫なので、これを確認していただけますか?」
- 「今は難しそうでしょうか?落ち着いたときに、ここを一度見ていただきたいです。」
- 「あとでで構いませんので、スープの味見をお願いしてもいいですか。」
<やり方が分からず迷ったとき>
- 「この作業、昨日と同じやり方で大丈夫か確認させてください。」
- 「前回教えていただいたやり方でやろうと思うのですが、ここだけ自信がなくて…もう一度教えていただけますか。」
- 「自分なりにやってみたのですが、合っているか一度チェックしていただけると助かります。」
<ミスしてしまった直後に聞きたいとき>
- 「申し訳ありません、ここを間違えてしまいました。今からどう直すのが一番よいか教えていただけますか。」
- 「この失敗を次に生かしたいので、どこに気をつければよかったか教えていただけると助かります。」
全部覚える必要はありませんが、「これなら言えそう」と感じたフレーズを一つだけでも自分の定番にしておくと、いざというときに口から出やすくなります。最初はぎこちなくても、何度か使ううちに自然な自分の言い回しに変わっていくので安心してください。
フレーズはあくまで「きっかけ」を作るための道具です。実際にはうまく言えなくても、聞こうとした一歩そのものが大事な成長です。「またうまく聞けなかった…」と責めすぎず、「今日はあの言い方を試せた」と自分を認めてあげてもいいかもしれません。
4-3. ミスしたあとに報告・相談するときの伝え方
誰でもミスはしますが、その後の報告や相談の仕方で、怒られ方や周りの動き方が変わることがあります。特に給食の現場では、食材の量や加熱時間などが安全に直結するので、「バレなければいいや」と隠してしまうのはとても危険です。怒られるのが怖い気持ちはとてもよく分かりますが、早めに伝えることで被害を小さくできることも多いのです。
報告するときに意識したいのは、
- 何が起きたのか(事実)
- 今どうなっているのか(現在の状況)
- どうしたいのか(相談・提案)
の3つをできるだけ短く伝えることです。たとえば、
「野菜のカットをこのサイズで切ってしまったのですが、大きすぎたかもしれません。今この状態なのですが、切り直したほうがいいでしょうか?」
というように、状況と相談をセットにして伝えると、相手も判断しやすくなります。
また、先に一言「申し訳ありません」と添えるのも大切ですが、それだけで終わらせずに、「次からはこうします」と自分なりの改善案を一つだけ伝えてみるのもおすすめです。
- 「次からは切る前に一度サイズを確認してから始めます。」
- 「メモに『△△は1センチ角』と書き足しておきます。」
など、小さなことで構いません。これがあると、「同じことを繰り返さないように考えているんだな」と伝わり、相手の受け取り方も少しやわらかくなることが多いです。
それでも、きつく怒られてしまうことはあります。そのときに覚えておいてほしいのは、「怒られ方のきつさ=自分の価値」ではないということです。きちんと報告した自分の行動は、それだけでとても大事な一歩です。必要以上に自分を責めず、「次に同じ場面が来たとき、どのフレーズを使うか」を一つ決めておくところまでできれば十分頑張っています。
報告・相談の仕方は、一度で完璧にできるものではありません。失敗も含めて少しずつ慣れていくものなので、「今日はちゃんと伝えに行けた」「やり方を聞きに行けた」という事実を、怒られたこととは別に、自分の成長としてカウントしてあげてくださいね。
ポイント
- 質問するときは、相手の手がふさがっていないタイミングと、自分のメモの確認をしてから声をかけるだけでも印象が変わる
- クッション言葉や短い用件説明など、そのまま使えるフレーズを1〜2個持っておくと「聞く」ハードルが下がる
- ミスをしたあとの報告では、「事実・状況・相談」と次回への改善案を一言添えることで、自分を責めるだけで終わらない動き方につなげていける
5. メモ術:現場で使えるメモの取り方・整理のコツ
給食調理員が毎日怒られる状況を減らすには、「メモをどれだけ書くか」よりも「現場で使える形にして、きちんと見返せるか」が大切です。自分に合ったメモの形式と、忙しい中でも続く仕組みを整えていきます。
「メモはちゃんと取っているのに、なぜか同じことでまた怒られてしまう」と感じる人は少なくありません。実は、メモは「書く」だけではなく、必要なときにすぐ見られて、頭を整理するために使えるかどうかがポイントになります。ノートにびっしり書いて満足してしまうと、いざというときに役に立たないことも多いのです。
また、給食調理員の仕事は、水や調味料でメモが濡れやすかったり、手が汚れてページをめくりにくかったりと、普通のオフィスとは全く違う環境です。だからこそ、一般的な「きれいなノート術」を目指すより、現場に合った「多少汚れてもいい・見やすい・すぐ使える」メモを考えた方が現実的です。
この章では、まず給食調理員に合ったメモの形式を考え、そのうえでその場で書きやすいメモのコツや略語ルールを紹介します。最後に、メモを「書きっぱなし」にしないための簡単なテンプレ3パターンを紹介するので、自分に合いそうなものを一つ選んで使ってみてください。
5-1. 給食調理員に合ったメモの形式を選ぶ
メモの取り方を考えるときに大切なのは、「自分が一番使いやすい形はどれか」を見極めることです。給食調理員の場合、手が濡れたり汚れたりしやすい・立ったまま見ることが多いという特徴があるため、きれいなノート一冊だけでは不便な場面も出てきます。
たとえば、
- ポケットに入る小さめのメモ帳(個人用の覚え書き用)
- 調理台の端などに置けるビニールカバー付きのメモ板(みんなで共有する内容用)
- ロッカーに貼っておけるA4の「マイチートシート」(自分がよくミスするポイント用)
といったように、用途ごとにメモの形を分けると、使い分けがしやすくなります。
ポケットメモには、その日限りの細かい指示や気づきを書き込みます。調理場の見えるところに置くメモ板には、「盛り付けの順番」「温度や時間の目安」など、何度も確認したい情報を書いておくと便利です。ロッカーのチートシートには、自分が特に間違えやすいポイントや、決まりごとをまとめておくと、出勤前や休憩中にサッと確認できます。
ここでのポイントは、一冊のノートに全部詰め込まないことです。何でもかんでも一ヶ所に書いてしまうと、必要な情報を探すだけで時間がかかり、結局見なくなってしまいます。「ここにはこれを書く」とざっくり決めておくことで、メモを“引き出し”のように使い分けられるようになっていきます。
5-2. その場で書けるメモのコツと略語ルール
現場では、「ゆっくり字を書いている時間なんてない」と感じることも多いでしょう。そんな中でもメモを残しておくためには、完璧さよりも“その場で書けるか”を優先することが大切です。多少字が汚くても、自分が分かれば十分役に立ちます。
まず試してほしいのは、一行を「項目:ポイント」の形にすることです。たとえば、
- 「カレー:ルーは最後、焦げ注意」
- 「サラダ:ドレッシング少なめ、味見必ず」
- 「盛り付け:ごはん→おかず→汁物の順」
といった感じで、一行ごとに「何の話か」と「気をつける点」をセットで書きます。こうしておくと、あとから見返したときに、パッと内容が思い出しやすくなります。
さらに、忙しい現場では自分なりの略語ルールを作っておくと便利です。たとえば、
- 「注意」を「※」にしてしまう
- 「必ず」を「◎」で表す
- 名前の長い調味料は頭文字だけで書く(ドレッシング→「ドレ」、しょうゆ→「しょ」など)
といったように、自分だけが分かればいい「省略記号」を決めておくと、書くスピードがかなり変わります。
大事なのは、略語を使いすぎて自分でも分からなくなる状態を避けることです。最初のうちは、ポケットメモの裏表紙などに「自分ルール一覧」を書いておくのもおすすめです。「※=要注意」「◎=必ず」「ドレ=ドレッシング」などと決めておけば、見返したときに迷いません。
怒られるたびに「また忘れた…」と落ち込んでしまいそうなことは、なるべくその場ですぐ一行でメモに残しておきましょう。たとえ後でゆっくり整理しなくても、「忘れずに書き留められた自分」は確かに一歩前進しています。その小さな一歩の積み重ねが、少しずつ「同じことで怒られる回数」を減らしてくれるはずです。
5-3. メモを「見返して使う」ための仕組みづくり
メモ術で一番もったいないのは、「たくさん書いているのに、本番のときにほとんど見ない」という状態です。緊張していると、メモがポケットに入っていることすら忘れてしまうこともあります。そこで大事なのが、「いつ見返すか」を先に決めてしまうことです。
おすすめは、
- 出勤してエプロンをつけたタイミングで1分だけ昨日のメモを見る
- 作業を始める直前に、その日関係するページをパラッと確認する
- 休憩の最初か最後に、今日増えた気づきを一行だけ追加する
といった「見返しのタイミングを生活の流れに組み込む」方法です。「気が向いたら見る」ではなく、「これをしたらメモを見る」とセットにしてしまうと、自然と習慣になりやすくなります。
また、メモを整理するときは、「きれいに書き直す」ことよりも、よく使う情報を前の方に集めることを意識してみてください。たとえば、ノートの最初の数ページは、
- よく作る料理の注意点
- 盛り付けの順番や量の目安
- 自分が特に間違えやすいポイント
など、何度も見返したい情報専用ページにしてしまうイメージです。その他の細かい指示や一回きりの内容は、後ろのページに流していけばOKです。
忙しい給食現場でも続くメモテンプレ3パターン
ここでは、給食調理員として働く中で使いやすいメモテンプレを3パターン紹介します。全部を使う必要はないので、「これなら自分でも続けられそう」と思うものから試してみてください。
パターン1:一日の流れメモテンプレ
- 時間帯:________
- 担当作業:________
- 気をつけること:________
- 誰に確認するか:________
パターン2:料理ごとのレシピ+注意点テンプレ
- 料理名:________
- 手順(ざっくりでOK)
- ________
- ________
- 分量・火加減などの目安:________
- よくあるミスと注意点:________
パターン3:自分の反省と成長メモテンプレ
- 今日うまくいったこと:________
- 今日つまずいたこと:________
- 次に同じ場面が来たらこうする:________
テンプレの空欄は、一言ずつで十分です。「長文を書かないと意味がない」と思うと続かなくなるので、「キーワードだけ」「単語だけ」でもOKと自分に許可を出してしまいましょう。大切なのは、形のきれいさではなく、自分の頭の中を少し外に出して整理することです。
テンプレを使うときは、「毎日全部書く」ことを目標にする必要はありません。たとえば、忙しい日はパターン3の「つまずいたこと」だけを一行書く、余裕のある日はパターン2で新しく覚えた料理をまとめてみる、など、その日の自分の余力に合わせて使い分けて大丈夫です。
メモ術は、「怒られない完璧な自分になるため」の道具ではありません。むしろ、不安や抜け漏れを少し減らして、今の自分でも動きやすくするためのサポーターのような存在です。毎日怒られてつらいときこそ、メモを味方につけて、自分のペースで少しずつ前に進んでいけるといいですね。
ポイント
- 給食調理員のメモは、ポケット用・作業台用・ロッカー用など用途別に分けると現場で使いやすくなる
- 一行で「項目:ポイント」を書き、自分なりの略語ルールを決めることで、忙しい中でもメモを残しやすくなる
- テンプレ3パターンを全部やろうとせず、その日の余力で使い分けることで、「書いて終わり」ではないメモ習慣が少しずつ定着していく
6. 毎日怒られる状況から少し距離をとるコミュニケーション術
どれだけ仕事の覚え方やメモを工夫しても、毎日きつく怒られる職場は存在します。そんなときは「関わり方を変える」「味方を増やす」「環境を変える」など、コミュニケーションと距離の取り方で自分を守ることも大切です。
ここまで、自分の工夫でできる対策として、仕事の覚え方・聞き方・メモ術を見てきました。それでも、「どう頑張っても毎日怒られる」「自分だけが標的になっている気がする」ということは起こりえます。その場合は、あなたの力不足だけではなく、職場の雰囲気や人間関係のクセが大きく影響していることも多いです。
そんなときに意識してほしいのが、「もっと頑張る」一択ではなく、「どう距離をとるか」「誰に頼るか」「どのラインで環境を変えるか」という選択肢も持っておくことです。これは逃げでも甘えでもなく、自分を守るための立派なスキルです。
この章では、まず怒られたときの受け止め方や気持ちの切り替え方を整理し、次に合わない人との距離の取り方・味方の見つけ方を考えます。最後に、「本当に限界を感じたときはどうするか」という視点から、職場を変える選択肢についても触れていきます。
6-1. 怒られたときの心の守り方と切り替え方
毎日怒られていると、怒られた内容だけでなく、自分の存在そのものを否定されたように感じてしまうことがあります。そんなとき、すべてを真正面から受け止め続けるのは、とても消耗することです。少しでも心を守るために、「その言葉をどう受け止めるか」を意識的に調整してみましょう。
まず意識したいのは、「言い方と中身を分けて考える」ことです。たとえば、「何回同じこと言わせるの!」と強く言われたとしても、
- 言い方:きつくて傷つく
- 中身:同じミスが続いているから気をつけて、というメッセージ
というように、内容とトーンを分けて見るイメージです。トーンまで全部抱え込むのではなく、「内容だけメモに取って、余計な一言はゴミ箱に捨てる」くらいの気持ちでいてもいいのです。
また、怒られた直後は頭が真っ白になりやすいので、仕事がひと段落したタイミングで、「事実だけ」を短く書き出す習慣も役に立ちます。
- 「11:00 盛り付けで量を多くよそいすぎた」
- 「確認せずに器を並べ始めて注意された」
のように、感情は一旦置いておいて、起きたことだけを一行でメモしておきます。それだけでも、「自分はちゃんと次に生かそうとしている」と思いやすくなり、怒られた記憶と少し距離を置くことができます。
そして、家に帰ってからは、「今日怒られたことだけ」をずっと考え続けないように、自分なりの「仕事を切り上げる合図」を決めておくのもおすすめです。制服を洗濯機に入れたら一旦仕事モードを終わりにする、好きな飲み物を飲んだら考えるのをやめる、など小さなことで構いません。オン・オフを区切る小さな儀式があるだけで、心の疲れ方は少し変わってきます。
6-2. 合わない人との距離の取り方と味方の見つけ方
どんな職場にも、「どうしても相性が合わないな」と感じる人はいるものです。特に給食現場では、一緒に働く時間が長く、一人の影響力が非常に大きく感じられやすい環境でもあります。ここで大切なのは、「全員と仲良くしなきゃ」と頑張りすぎず、距離を調整しながら付き合うという考え方を持つことです。
まず、「この人にだけは強く怒られやすい」という相手がいるなら、その人と関わる場面を少しでも減らす工夫ができないか考えてみます。たとえば、
- 分からないことを聞くときは、比較的落ち着いて話してくれる別の先輩に聞く
- どうしてもその人に確認が必要なときは、事前にメモで整理して短時間で話す
- 休憩中は距離を置き、無理に雑談で盛り上げようとしない
など、「ゼロか100か」ではなく、自分が耐えられる距離感を探すイメージです。
同時に、職場の中で話しやすい人・気にかけてくれる人を意識的に探してみるのも大切です。少しでも穏やかな口調で教えてくれる人、さりげなくフォローしてくれる人がいたら、その人に「いつも助かっています」「教えてもらえて助かりました」と一言伝えてみてもいいかもしれません。「この人には相談しても大丈夫」という存在が一人いるだけでも、心の負担はかなり違ってきます。
もし職場の中にまったく頼れそうな人がいないと感じるときは、家族や友人、前の職場の同僚など、職場の外に味方をつくるのも大事な選択肢です。「今日こんなことがあってさ」と話を聞いてもらうだけでも、「自分の感じ方はおかしくないんだ」と確認できて、孤立感が少し和らぎます。
「相手を変える」のは簡単ではありませんが、関わり方・距離の取り方・誰に支えてもらうかを変えることは、少しずつでもあなたの側から選ぶことができます。無理に全員から好かれようとせず、「この人とは最低限」「この人とは少し深く」というように、自分なりの線引きをしてみてください。
6-3. どうしてもつらいなら職場を変える選択肢もある
ここまで、怒られやすい職場で少しでも楽に働くための工夫を見てきましたが、それでも心や体が限界に近づいているときは、「環境そのものを変える」という選択肢も真剣に考えてよい場面です。頑張り続けることだけが正解ではなく、その場から離れることも立派な自己防衛です。
「辞める」「異動を相談する」「勤務日数や時間を減らす」など、選択肢はいくつかありますが、その前にまず、「どんな我慢の仕方は危険なのか」を整理しておきましょう。次のリストにたくさん当てはまるようなら、すでに頑張りすぎているサインかもしれません。
やってはいけない我慢の仕方・頑張り方リスト
- 体調が悪くても無理して出勤し続けている
- 毎朝、出勤前に涙が出たり吐き気がしても「気のせい」と押し込めている
- ミスを怒られるのが怖くて、間違いを隠そうとしてしまうことがある
- 誰にも相談できず、家族や友人にも職場の話を一切しないようにしている
- 「自分が全部悪い」「自分さえ我慢すればいい」といつも自分だけを責めている
- 仕事が終わっても気持ちが切り替えられず、寝ても職場の夢ばかり見る
- 「いっそ消えてしまいたい」とまで感じる瞬間が、ときどきでもある
このうち、いくつも当てはまる場合は、「もっと頑張ること」よりも、負荷を減らす方向を真剣に考える段階だと受け止めてほしいところです。具体的には、
- 信頼できる家族や友人に今の状況を話す
- 可能なら、職場の中で別の上司や人事・責任者に相談してみる
- 勤務時間や担当業務を変えられないか、打診してみる
- 別の職場や働き方を情報収集し始める
など、「今すぐ辞める・辞めない」の前にできる行動もいくつかあります。
もちろん、生活や家計の事情があり、「簡単には辞められない」と感じる方も多いはずです。その現実を無視して「すぐ辞めればいい」とは言えません。それでも、心と体を壊してしまっては、元も子もありません。少しずつでも、
- 「いつまでこの状態を続けるのか」
- 「本当にこの職場でなければいけないのか」
- 「自分に合いそうな他の働き方はないか」
を考える時間を持ってみることは、決して無駄にはならないはずです。
今が苦しいからといって、この先ずっと同じ毎日が続くと決まっているわけではありません。今できる工夫をしながら、同時に「もし限界を超えそうになったら、こう動こう」という逃げ道を持っておくことが、結果的にもう少し安心して今を踏ん張る力にもつながります。
ポイント
- きつい言い方をされたときは、内容とトーンを分けて受け止め、「事実だけ」を一行メモに残すことで心との距離をとる
- 合わない人とは、無理に仲良くしようとせず、関わる場面を減らしたり、話しやすい人・職場外の味方を意識的に増やす
- 体調不良や強い自己否定が続くときは、「頑張る」一択ではなく、負荷を減らす行動や職場を変える選択肢も含めて、自分を守るための道を考えてよい
7. Q&A:給食調理員の「毎日怒られる」に関するよくある質問
給食調理員として毎日怒られるときに多い疑問をQ&A形式でまとめます。「どこまで我慢すべき?」「向いていないのかも」という不安に、現実的な目線で答えながら、次にどう動けばいいかのヒントを整理します。
ここまで読んで、「頭では分かったけれど、実際自分のケースではどう考えたらいいんだろう?」とモヤモヤしている人もいるかもしれません。そこでこの章では、よくある悩みを質問形式で切り出して、一つずつ短く整理していきます。迷ったときに戻ってこられる「困ったときの場所」として使ってもらえたらうれしいです。
「これ、自分の状況に近いな」と感じた質問から読んで大丈夫です。すべての答えがあなたにそのまま当てはまる必要はありません。自分の働き方や今の状態を考えるきっかけとして、「使えそうな部分だけ持ち帰る」つもりで読んでみてください。
7-1. 毎日怒られるのはどこも同じ?それとも職場が悪い?
給食調理の現場は忙しく、どこでもある程度の注意や指導のきつさはあるかもしれません。でも、毎日のように大声で怒鳴られたり、人格を責めるような言い方が続くなら、「どこもそうだから仕方ない」とは言い切れません。仕事のミスに対する注意と、ストレスのはけ口としての怒りは、別のものです。
「自分だけでなく、周囲の人も同じように傷ついているか」「ミスと関係ないところまで否定されていないか」を一つの目安にしてみてください。全員がビクビクしている職場なら、それはあなたの頑張りだけでは変えにくい環境の問題も大きいと考えてよいでしょう。
7-2. 新人だから怒られるのは我慢すべき?いつまで様子を見る?
新人のうちは、仕事を覚える段階で注意が多くなるのは自然なことです。最初の数か月は、「覚え方・聞き方・メモの工夫」で変えられる部分も少なくありません。ただし、半年〜1年たっても同じことだけを繰り返し怒鳴られ続けるなら、職場側の教え方や関わり方にも問題がある可能性があります。
目安として、「怒られる頻度は減ってきているか」「内容が具体的な指摘に変わってきているか」を見てみてください。時間がたってもただ感情的に怒られるだけなら、「ただ我慢する期間」ではなく、相談したり環境を見直すタイミングに来ているのかもしれません。
7-3. 仕事が覚えられない自分は向いていない?
「なかなか覚えられない」と感じると、つい「私は向いていない」と一気に結論を出したくなります。ですが、覚え方の工夫次第で変わる部分も多いです。たとえば、メモを取るだけで満足せず、「仕事前に一分だけ見返す」習慣をつけるだけでも、ミスの回数が変わる人はたくさんいます。
一方で、「細かい手順よりも人と話す仕事のほうがラク」「大勢相手より少人数のほうが落ち着く」など、自分に向く環境の違いも確かにあります。いきなり「完全に向いていない」と決めるのではなく、工夫をしてもなおつらいのか、それともやり方次第で少し楽になりそうかを見てから考えてみてもいいかもしれません。
7-4. 体調が悪くなってきたときはどうしたらいい?
出勤前にお腹が痛くなる・吐き気がする・眠れない日が続くなど、体のサインが出てきたときは、「気合いで乗り切る」だけでは限界があります。まずは無理をせず、早めに家族や信頼できる人に状態を話すことを検討してみてください。「そこまでつらいんだ」と口にするだけでも、少し状況が整理されることがあります。
そのうえで、可能であれば医療機関や相談窓口に相談することも選択肢です。「仕事を続けられないほどつらくなってから」ではなく、「最近しんどい日が増えてきたな」と感じた段階で動けると、自分を守りやすくなります。あなたの体調は仕事よりもずっと大事なものだと、どうか忘れないでいてください。
7-5. 家族や友人にどう打ち明けたらいい?
毎日怒られてつらいときほど、「心配をかけたくない」と誰にも言えなくなることがあります。でも、一人で抱え込むほど、怒られた言葉が頭の中で何度も再生されてしんどくなってしまいます。打ち明けるときは、全部を完璧に説明しようとせず、「最近、職場でこんなことが続いていてしんどいんだ」と、事実と気持ちを一つずつ伝えるイメージで話してみてください。
相手にどうしてほしいかも、「ただ話を聞いてほしい」「少しアドバイスがほしい」など、ざっくりでいいので言っておくと、お互いにやり取りがしやすくなります。「弱音を吐いたら迷惑」ということは決してありません。むしろ、味方になってくれる人の存在は、職場で踏ん張るための大きな支えになってくれます。
ポイント
- 「どこも同じかどうか」より、自分や周囲がどれだけ傷ついているか・変わる余地があるかで考えてよい
- 新人だからと我慢し続けるのではなく、時間がたっても怒られ方が変わらないなら環境の問題も疑ってみる
- 体調や心が限界に近いと感じたら、一人で抱え込まずに身近な人や専門機関に相談しつつ、「どこでブレーキをかけるか」を一緒に考えてもらうことも大切
8. まとめ
給食調理員として毎日怒られる状況は、あなた一人のせいではありません。仕事の覚え方・聞き方・メモ術を整えつつ、心と体を守るために距離の取り方や環境の見直しも含めて、自分らしく働くための選択肢を持っておきましょう。
ここまで読んでくださったあなたは、すでに「今のままではしんどい」と気づき、何とかしたいと動き始めた人です。その一歩だけでも、本当に大きな前進だと思います。まずは、自分を責めるだけで終わらず、「どうしたら今より少しラクになれるか」を一緒に考えてこられたことを、そっと認めてあげてください。
この記事では、「仕事の覚え方」「聞き方」「メモ術」といった自分の工夫で変えられる部分に焦点を当てながら、同時に「どれだけ頑張ってもつらい職場もある」という現実にも触れてきました。どちらも真実であり、その中で自分の心と体を壊さない選択をしていくことが、何より大切なゴールです。
8-1. 全体の振り返りと押さえておきたい前提
まず押さえておきたいのは、「給食調理員として毎日怒られる状況」は、仕事の性質・人手不足・職場の雰囲気など、いくつもの要素が重なって生まれているということです。決して、あなた一人が極端にできない人だから起きているわけではありません。
そのうえで、「自分の覚え方や動き方を見直せる部分」と、「職場の文化や教え方に問題がありそうな部分」をセルフチェックで切り分けることからスタートしました。自分側の項目が多ければ工夫で変えられる余地があり、職場側の項目が多ければ、環境そのものを疑ってもいいという視点が持てたのではないでしょうか。
さらに、出勤前の吐き気や涙、眠れない夜など、心と体からの限界サインにも触れました。これらのサインは「弱さ」ではなく、「これ以上は危ないよ」という大事なお知らせです。頑張り続けるだけでなく、ブレーキを踏む選択も持っておくことが、自分を大切にすることだと覚えておいてください。
8-2. これからも意識したい仕事の覚え方・聞き方・メモ術
仕事の覚え方では、まず「一日の流れをざっくりつかむこと」、次に「自分の担当を小さな手順に分けること」、そして「一日の終わりに一行だけ振り返ること」を紹介しました。これは、特別な能力ではなく、誰でも少しずつ身につけていける「覚え方の型」です。
聞き方については、相手の手がふさがっていないタイミングを選び、クッション言葉と短い用件説明をセットで使うことがポイントでした。「これで合っていますか?」「次は何をすればいいですか?」と聞く勇気は、怒られないためだけでなく、安全に仕事を進めるための大切なスキルでもあります。
メモ術では、「ポケット用」「作業台用」「ロッカー用」といった用途別メモや、「項目:ポイント」の一行メモ、そして自分なりの略語ルール・テンプレ3パターンを見てきました。完璧を目指すのではなく、忙しい中でも続けられる“ちょっとした工夫”を積み重ねることが、結果的にミスを減らし、怒られる回数を減らす土台になっていきます。
8-3. 今すぐできるおすすめアクション!
ここからは、「読んで終わり」にならないように、今日からできる小さなアクションをいくつか挙げてみます。全部やる必要はないので、「これならやれそう」と感じたものを一つだけでも選んでみてください。
- 一日の流れを紙にざっくり書き出す
仕事が終わったあと、メモ帳やノートに「朝〜昼〜午後の流れ」を簡単に書いてみましょう。自分がどこでバタつきやすいかが、少し見えやすくなります。 - よく怒られる場面を一行メモにする
「何で怒られたか」を感情抜きで一行だけ書いておきます。後から見返したときに、自分のつまずきパターンが分かり、対策を考えやすくなります。 - 使えそうなクッション言葉を一つ決めてポケットに入れる
「お忙しいところすみません」「手が空いたときで大丈夫なので」など、言いやすいフレーズを一つ選び、メモに書いてポケットに入れておくと、いざというときに助けになってくれます。 - メモテンプレを一つだけ試してみる
「一日の流れ」「料理ごとの注意点」「反省と成長メモ」のどれか一つを選んで、明日分だけ書いてみましょう。長文ではなくキーワードだけでOKです。 - 信頼できそうな人に状況を一言だけ話してみる
家族や友人、職場の中の話しやすい人に、「最近、毎日怒られてしんどくて…」と一言打ち明けてみるのも立派なアクションです。「一人で抱え込まない」という選択そのものが、あなたを守る力になります。 - 「これ以上は無理」という自分なりのラインを書き出す
体調のサインや、続いたら辞める・異動を考えたいラインを、紙に書いておくのもおすすめです。あらかじめ決めておくことで、限界を越える前にブレーキをかけやすくなります。
今感じているしんどさが、すぐにゼロになるわけではないかもしれません。それでも、小さな一歩を積み重ねていくことでしか見えない景色もきっとあります。あなたが自分を責めすぎず、少しずつでも「前よりラクかも」と思える日が増えていくように、この記事のどこか一つでも役立ててもらえたらうれしいです。
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