日常のコミュニケーションでの文章の大切さ
あなたも日々、仕事やプライベートで文章を書いていると思います。
- 家族や友達とのLINE
- 仕事で取引先に送るメール
- SNSやブログへの投稿
など、さまざまな場面で文章を作成しています。
スマホやパソコンを使って、文字を打ち込み文章として成立させ、伝えたいことを相手に伝えているはずですが、これらの文章を通じて、あなたは自分の考えや感情、必要な情報を相手に伝えようとしています。
しかし、ふとした瞬間に、
あれ?伝わってない?
と感じたことはありませんか?
例えば、友達に送ったLINEメッセージが誤解されてしまったり、上司に送ったメールが意図とは違った解釈をされてしまったりすることがあります。
こうした誤解やすれ違いは、日常のコミュニケーションにおいて頻繁に起こるものです。
文章が伝わらない原因は、相手の読解力だけでなく、あなたの伝え方にもあります。
特に、文章の書き方に注意を払わないと、相手に誤解を招く表現や、不十分な情報の提供につながることが多いです。
例えば、
「今日の会議はどうだった?」
という質問に対して、
「良かったよ」
とだけ返信すると、相手は何が良かったのか具体的に理解できません。
文章を通じて確実に伝えるためには、明確で具体的な表現を心がけることが重要です。
例えば、先ほどの例では
「今日の会議では、新しいプロジェクトの提案がスムーズに進みました」
という具合に、具体的な情報を付け加えることで、相手により正確な理解を促すことができます。
さらに、文章を書く際には相手の立場や状況を考慮することも大切です。
相手がどのような情報を必要としているか、どの程度の詳細が求められているかを意識することで、より効果的なコミュニケーションが実現します。
例えば、取引先へのメールでは、敬意を払いながらも、必要な情報を過不足なく提供することが求められます。
このように、日常のコミュニケーションにおける文章の書き方には多くの工夫が必要です。
それでは、伝わりづらい文章の原因について詳しく見ていきましょう。
伝わりづらい文章の原因とは?
伝わりづらい文章の原因は、相手の読解力の問題や、あなたの伝え方の問題など、さまざまですが、今回は後者、すなわち伝え方に焦点を当ててみましょう。
例として、
ねこがいる。
という文章を考えます。
この表現だけでは、何の情報も得られませんよね。
具体的にどのような猫がどこにいるのか、何をしているのかが全く分かりません。
このような曖昧な表現は、読者に多くの疑問を残し、誤解を生む原因となります。
伝わりづらい文章の具体的な原因
- 情報不足:上記の「ねこがいる」という文章は、情報が極端に少ないため、読者に具体的なイメージを提供することができません。文章を読む人は、文脈や詳細が不足していると、想像力に頼らざるを得ず、結果として誤解や混乱が生じます。
- 曖昧な表現:曖昧な言葉や表現は、相手に正確な情報を伝えることができません。例えば、「明日は早く帰るかもしれない」という表現は、「早く」の具体的な時間や「かもしれない」の確実性が欠けており、受け手はその真意を測りかねます。
- 前提知識の誤認:伝え手が相手の知識や理解度を過大評価してしまうと、専門用語や省略された情報が含まれる文章になりがちです。これにより、受け手はその意味を理解できず、情報が伝わりにくくなります。
- 文の構造が不明確:文の構造が複雑すぎたり、論理の展開が飛躍していると、読者は文章の流れを追いにくくなります。例えば、接続詞や指示語が適切に使われていない場合、文と文のつながりが分かりにくくなり、理解に時間がかかります。
次は、より具体的で分かりやすい文章を書くためのテクニックを学んでいきましょう。
「5W1H」の考え方を取り入れる
文章を具体的に、そして分かりやすくするためのポイントが「5W1H」です。
この考え方を取り入れることで、情報を詳細に伝えることができ、読み手にとって理解しやすい文章を作成することができます。
5W1Hの基本要素
- いつ(When):事象が発生した時間や期間を明示することで、読者はその出来事のタイミングを理解しやすくなります。
- どこで(Where):具体的な場所を示すことで、読者はその出来事がどこで起こったのかをイメージしやすくなります。
- 誰が(Who):行為者や関係者を明確にすることで、文脈の中で登場人物を特定しやすくなります。
- 何を(What):具体的な行動や出来事を説明することで、読者はその内容を明確に理解することができます。
- なぜ(Why):理由や目的を示すことで、読者はその行動や出来事の背景を理解することができます。
- どのように(How):方法や手段を説明することで、読者はその行動や出来事がどのように行われたのかを具体的に把握することができます。
5W1Hの具体例
上記の基本要素を元に、例として「ねこがいる」という文章を詳細にしてみましょう。
この短い文章を「5W1H」の要素を取り入れて具体化します。
「ねこがいる」を5W1Hに基づいて詳細にすると…
- いつ(When): 晴れた日の昼下がりに
- どこで(Where): 人気のない公園の古びたベンチに
- 誰が(Who): 綺麗な毛並みの真っ白なねこが
- 何を(What): あくびをしながら
- なぜ(Why): 寝転んでいる(理由が分かれば詳細にする)
- どのように(How): リラックスした様子で
これらの要素を組み合わせると、以下のような具体的な情報を持つ文章になります。
晴れた日の昼下がりに、人気のない公園の古びたベンチに、綺麗な毛並みの真っ白なねこが、あくびをしながら寝転んでいる。
このように、5W1Hの要素を取り入れることで、文章は一目で状況が頭に浮かぶような、具体的で分かりやすいものになります。
5W1Hの効果的な活用法
5W1Hの考え方を取り入れることで、以下のようなメリットがあります。
- 情報の整理:文章を書く前に5W1Hの要素を整理することで、情報を網羅的に捉えることができます。
- 具体性の向上:各要素を詳細に説明することで、読者にとって理解しやすい具体的な文章になります。
- 誤解の防止:十分な情報を提供することで、読者が誤解するリスクを減らすことができます。
次のセクションでは、伝えるべき内容の見極めについて詳しく見ていきましょう。
これにより、どの情報をどの程度具体的に伝えるべきかを学ぶことができます。
伝えるべき内容の見極め
ここまで読んで、あなたは、
そんなの当たり前じゃん。
と思うかもしれませんが、実は日頃、あなたが書いている文章にも不足している部分というのは多々あるのではないでしょうか。
多くの人が無意識に情報を省略して文章を書いています。
その結果、重要な情報が抜け落ちてしまい、相手に伝わらない文章になってしまうことがよくあります。
ねこがいる。
晴れた日の昼下がりに、人気のない公園の古びたベンチに、綺麗な毛並みの真っ白なねこが、あくびをしながら寝転んでいる。
上の2つの文を比べると、明らかに文字数の違いがあります。
これは現代人のライフスタイルに起因しているとも言えます。
現代人は、忙しい、時間がない、面倒くさいという理由で、文字数を減らして、端折って、伝えがちです。
情報省略の原因
- 忙しさ:現代社会では、常に時間に追われています。そのため、急いで文章を書く際に、情報を省略してしまうことが多いです。
- 相手の理解力に頼りすぎる:「相手は気の知れた仲だから」、「こちらの意図を汲んでくれるだろう」、「察してくれるだろう」と思い込むことで、情報を省略しがちです。しかし、これはこちらの都合の良い解釈でしかなく、誤解を生む原因となります。
- シンプルさの追求:「端的に」、「シンプルに」と考えるあまり、必要な情報まで削ってしまうことがあります。
これにより、文章が不十分で分かりづらくなってしまいます。
伝えるべき情報の適切な量
きちんと誤解なく、相手に正しい情報を伝えるには、相応の文字量というのが必須です。
情報が多すぎると冗長になり、少なすぎると不明確になります。そのため、適切なバランスを保つことが重要です。
例えば、以下のようなポイントに注意して情報量を調整すると良いでしょう。
- 必要最低限の情報:相手がその情報を理解し、次に何をすべきかが明確になるための最低限の情報を提供します。
- 具体的な例:抽象的な表現を避け、具体的な事例やデータを用いて説明します。これにより、相手は内容をより具体的に理解することができます。
- 補足情報:必要に応じて、詳細な説明や背景情報を提供します。
ただし、重要でない情報は省略し、主旨がぶれないようにします。
具体例を用いた説明
例えば、「会議の結果を報告する」という状況を考えてみましょう。
省略された報告:「会議は成功しました。」
具体的な報告:「本日の会議では、新プロジェクトの提案が承認され、チーム全員が賛同しました。また、次回の会議では詳細なスケジュールを決定することが決まりました。」
このように、具体的な情報を提供することで、相手は会議の内容を正確に理解し、次に何をすべきかを把握することができます。
文章を書く際には、適切な情報量と具体性を持つことが重要です。
相手の理解を助けるためには、必要な情報を省略せず、明確で具体的な文章を心がけることが大切です。
このことを念頭に置いて、毎日のコミュニケーションがより豊かになるよう努力しましょう。
行間を読ませる技法とその使いどころ
もちろん、すべての文章が具体的で詳細である必要はありません。
具体性が必要な場面もあれば、逆に行間を読ませることで読者の想像力を引き出し、深い理解や感情の共有を促す場面も存在します。
行間を読ませる技法の重要性
行間を読ませる技法は、特に小説や物語、詩などの文学作品で頻繁に使われます。
これにより、読者は自分の経験や感性を基に内容を補完し、物語の世界に深く入り込むことができます。
例えば、
ねこがいる…。
という文章は、非常に簡潔でありながら、多くの解釈を引き出す力があります。
具体的な説明を省くことで、読者は自分自身の想像力を働かせ、
どんなねこだろう?
どこにいたのだろう?
と考えます。
このようにして、読者は自ら物語の一部になったかのような感覚を味わうことができます。
行間を読ませる技法を使用した例
先ほどの例を再度考えてみましょう。
具体的な説明:「晴れた日の昼下がりに、人気のない公園の古びたベンチに、綺麗な毛並みの真っ白なねこが、あくびをしながら寝転んでいる。」
行間を読ませる:「ねこがいる…。」
この2つの文章は、それぞれ異なる目的を持っています。
具体的な説明は、状況を正確に伝えることが目的です。
一方で、行間を読ませる文章は、読者の想像力を引き出し、物語の中に引き込むことを目的としています。
行間を読ませる技法の使いどころ
- 文学作品:小説や詩などでは、行間を読ませることで読者の想像力を刺激し、物語に深みを与えることができます。
- 日常のコミュニケーション:友人や家族との会話やメッセージでも、行間を読ませることで、相手の想像力や感情を引き出すことができます。
- 広告やマーケティング:広告やキャッチコピーでは、あえて詳細を省くことで、消費者の興味を引き、商品やサービスについて考えさせる効果があります。
意図的な行間の活用
行間を読ませる技法を効果的に使うためには、意図的に行うことが重要です。無意識に情報を省略してしまうと、伝えたいことが正確に伝わらないリスクがあります。
したがって、どの情報を伝え、どの情報を省略するかを意識的に選択することが求められます。
例えば、重要な会議の報告では、具体的な情報を詳細に伝える必要がありますが、創作活動や感情を伝える場面では、あえて行間を読ませることが有効です。
この違いを理解し、適切に使い分けることで、より効果的なコミュニケーションが実現します。
情報を伝える際には、適切な情報量と具体性を持つ文章を心掛けることが重要です。
しかし、時には行間を読ませることで、相手の想像力や感情を引き出すことも効果的です。
これらの技法を適切に使い分けることで、あなたのコミュニケーションがより豊かで効果的なものになることを願っています。
コメント